19時にあなたと…②
170cmはある身長を、145cmしかない私に目線を合わせて高橋さんは、返事をした。
『そうです。11日、良かったら…お祭りに行きませんか?』
今、“お祭りに行きませんか?”と言われた気がするけど…気のせいかな…?
まさか、高橋さんが私なんかを誘うなんて…。
『嫌だったら、良いですよ…』
伏し目がちに私を見て、そう言われた。
やっぱり、本当なんだ…と思った私は、慌てて否定した。
「そんな…。びっくりしただけです。誘って頂けて、嬉しいです」
今、仕事中じゃなかったら…嬉しくて飛び上がっていたかもしれない。
『…こちらこそ、ありがとうございます』
高橋さんは、眼鏡をくいっと上にあげてそう言った。
「あとのメンバーは、誰ですか?」
まさか、2人きりはないだろう…と思っていた私は、笑顔で聞いた。
『あっ、メンバーは、長野さんと自分だけです…』
髪をくしゃっとして、また私の目をじっと見て言われた。
お祭りに誘ってくれただけでも、びっくりしたのに…2人きりとは…。
「…そうなんですね。他の皆には、内緒でお願いします」
他の人にバレたら、どちらかが異動になってしまうかもしれないもんね。
そんな事には、絶対になりたくない…と思っていた。
『分かりました。詳しい事を話したいので、連絡先を教えて下さい』
その後、私は自分の電話番号とメールアドレスを紙に書いて渡した。
「電話番号とメールアドレス、書いておきました」
『ありがとうございます。また、連絡しますね』
「はい」
その後、私達2人はそれぞれ自分達の仕事に戻ったのだった。