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最終推論 邪馬台国  作者: 六津 江津子(むつ えつこ)
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第10章 地名に潜む邪馬台国の気配<その2>

□青森県の王余魚沢かれい さわ

□徳島県の王餘魚谷川かれい たにがわ


  「王余魚」はその字が表す通りに魚の名前なので、読みの通りに「鰈」のことを指していますが、これは中国の故事に基づいているとされています。日本ではまだ縄文後期に当たる春秋時代、中国大陸にあった越の国の王様が船上で食べた魚を半分だけ食べ、あとの半分を海に投げ捨てたところ、不思議なことに半身になった魚が元気に泳ぎだした…というのがその話。鰈の体型が生んだ滑稽な伝説というわけですが、問題はそれが残っている地域です。

  青森と縄文時代をキーワードにすれば思い浮かぶのは三内丸山遺跡。これは、縄文後期~弥生の頃にこの伝説が日本に伝わっていた可能性を語ります。そして、この伝説を漢字とともに伝えることのできる学識人が四国にも存在したと考えられます。彼らの知識を残し伝えた四国の民とは…?



□徳島県の木屋平村こやだいらそん

□福岡県・長崎県の木屋瀬こやのせ


  まず興味深いのは、「小屋平」の地名が九州北部と徳島県の山間部という限られた地にしか存在しないということです。

  徳島県の小屋平村は市町村合併で現在は美馬市と一地区となっています。地名の由来は平家に関するとか、かつてこの地を治めた小屋平氏によるものなど諸説ありますが、実のところ、いずれも後付の気配が濃いようです。となると、徳島県の「小屋平」は九州を源流と考えることも無理やりではありません。では、九州から四国へ「木屋平」の地名を再現したのは…?



□大分県の釈迦ヶしゃかがだけ

□奈良県の釈迦ヶしゃかがだけ

□三重県の釈迦ヶしゃかがだけ

□京都府の釈迦岳しゃかがだけ

□香川県小豆島の釈迦ヶしゃかがはな


  一目で、仏教の影響濃い地名とわかりますから、邪馬台国から発生した地名ではないでしょう。しかし、ここに抽出しているのは、邪馬台国の謎につながる“何か”があると筆者が判断しているからです。

  考えるに、これらの地名は仏教が日本に定着した7~8世紀頃に命名されたものでしょう。ただ、この地名がつけられた頃には未だ、四国が特別な地であることの意識や知識が一部の人々、それもある程度の地域階級にある人たちの間にまだ残っていたのではないかと筆者は推測しています。

  しかし悲しいかな、その正確な意味合いは伝わりきってはいなかった。その結果、都の地位を争った奈良と京都、そして邪馬台国の東遷地周辺地である三重県、さらには鳴門に近い小豆島に「釈迦」の名が記されたのでしょう。そうした視点からみると、小豆島と鳴門海峡は“目と鼻の先”とも言えるのです。



□蘇陽(そよう/熊本県)

□大埇(おおそね/高知県南国市)

□高埇(たかそね/高知県高知市)


  「埇」…存在自体が謎の文字です。記載されていない漢和辞典が少なくないようです。かろうじて記載されている場合の読みは「よう」となっています。なぜ、それを「そね」と読むのでしょう。

  しかもどうやら、この文字を使用している地名は高知県にしかありません。逆を言えば、高知県では他の漢字同様に自然に受け入れられている文字であり、「埇」を含む苗字の方もおられます。しかも読みは「そね」で。

  「埆」の誤記ではないかとする説もあるようですが、「埆」は「确」と同じというのが一般的な解釈で、読みはともに「かく」。「よう」や「そね」につながっていくのは無理がある気がします。

  古代中国由来の文字使いではないかという見解を述べている方がおられ、筆者はこちらに軍配を上げます。「サンカ」に関する章で述べていますが、古代中国からの渡来人や、彼らから教授された高い文化力が邪馬台国の末裔たるサンカの中に残り伝えられていた結果と考えれば、「埇」の中国由来説は大いに頷けます。

振り返って「蘇陽」の地名ですが、所在は熊本県、九州の地の五ヶ瀬川上流にある渓谷の名です。

  「そ・よう」の音の地名があり、一方で、「よう」と読むのが一般的にもかかわらず「そ・ね」と特殊な読ませ方をする地名がある…はたして、この「埇」の字が語る“真実”とは…?



□天川村(てんかわむら/奈良県)

□天ノ川(そらのかわ/高知県四万十町)


  天川村は奈良県にある村です。紀伊山地の中央部、紀伊半島のおヘソのような位置にあります。一方、天ノ川は高知県四万十町。四万十川が円を描くように大きく蛇行しているその蛇行部に包まれるように流れる小さな川です。

  天の川伝説は昔からあるにも関わらずこの2カ所以外で「天の川」の地名が見受けられるのは北海道のみです。しかも、北海道の天の川駅は観光振興のために現代社会になってから命名されたものです。

  ともに星空がきれいな地域のようです。そこで筆者は考えました。ひょっとしたら、高知の天ノ川周辺は星の動きを観察する特別な場所ではなかったのかと。ならば、分国先の機内に同じ目的の場所を設けることは、むしろ当然のことかもしれません。(第10章その3に続く)


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