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ビギン ザ ビギン 1

全開の収録から焼く3週間程経っております。ちょうど10月下旬位です。

 僕の母校でのDVD撮影も無事に終わって、ファンクラブのイベントも終わって暫くした頃事務所に届く予定になっている年末特番のドラマの台本を受け取り時事務所に久し振りに寄った。

「こんにちは」

「久しぶりだな。楓太。台本?」

 僕に気がついた澤田さんが俺に台本を手渡してくれる。

 今回のオファーは、僕単独の仕事のようだ。

「誰か共演しますか?」

「これは、ほらっ、年始の長時間歴史ドラマな。お前だけなんだ。しかもお前には楽な配役だ」

 僕は台本の配役リストを見る。僕の役は……若かりし頃の千利休。確かに楽かもしれない。

 茶道の所作だけならば。セリフもそう多くはないが、茶室でのシーンしかないと言ってもいい位だ。

「分かりました。これって1日位収録ですよね。スタジオですか?」

「いいや。俺が同伴して京都でロケだ。で、それに抱き合わせてあいつ等も行く」

「えっ?」

「音楽特番で、嵐山か嵯峨野で中継だ。その後はDVD撮影だ」

 また?こないだ撮影したじゃないか?

「楓太、眉間に皺。今回はお前達が京都に修学旅行に行く設定で撮影だから安心しろ」

 そう聞いてホッとする。先月撮影した初恋めぐりのDVDは本当に大変だった。

 何が大変だったかって?完全に僕のイメージDVDになってしまったから。

 コンセプトは、僕らの初恋の思い出を語りながらDVDを作るはずだったのに、カメラマンが楽器を使いこなす僕が新鮮だったせいかミニリサイタル状態になった。

 その結果、他のメンバーとはどうもカラーが違う作品になってしまったようだ。


「楓太、それとお前に国営放送からオファーが来てるぞ」

「へ?僕だけですか?」

「ああ。ターゲットはシニアらしいんだが、お前のDVDでアシスタントに決まりそうだ」

「……何ですか?」

「ジャズトランペットを吹くって教養番組。お前トランペットは吹けるだろ?」

「ええ、まあ」

「ジャズは初心者だろ?」

「そうですね。本格的には経験ないですね」

「だから、生徒役のおじさん達と一緒にレッスンするんだと」

 ジャズは嫌いじゃないから、嬉しいと言えば嬉しいかもしれない。

「これが成功すると、そっち方向のオファーが続くかもしれないな」

「いいじゃないですか?僕達はグループだけども、ここのやりたい事は皆違いますよ」

「そうだな。今まではアイドル優先だったが、これを機会に多角的に売っていくのもいいな。楓太は、どっちにいきたいんだ?」

 いきなりマネージャーとのやり取りに社長が割り込んでくる。


「社長。お久し振りです」

「そうだな。茶道教室の方はどうだ?」

「まあ、それなりですよ。そこから話が飛んで、今度和菓子を作る講座をやって欲しいって……聞きましたか?」

「聞いているぞ。いいんじゃないか?古都のロケには和菓子はつきもの。知識があるとないでは話は違うからな。有名じゃなくてもいいから頼める和菓子職人はいるか?」

「実家で使っている店に頼めば……近日中にお返事します」

 俺はスマホのスケジュールを開いて、帰る前に桔梗屋さんに寄るように書き加えた。

 桔梗屋さんは、実家で贔屓にしている和菓子屋だ。今は三代目が中心に切り盛りをしている。僕がお願いしたいのは2代目だ。店には立っているが、経営に対しては世代交代したと聞いている。


「それと、楓太。初恋ショコラの次のシリーズのCMが決まったんだが、お前がメインキャラクターで決まった「から。3日後には打ち合わせがあるから」

「僕がですか?」

「うーん、詳しい理由は打ち合わせで分かるから。楓太、初恋の次は何だろうな?」

「何ですか?社長?これは宿題ですか?」

「まあ、そんなものだ。詳細は3日後だけどな。一応考えておけよ」

 そう言って社長は、自室に引っ込んでしまった。

 社長はこういう人だ。意味深な質問を投げかけていく。

 樹の時は、18歳で初恋?大いに結構。マスコミだけは気を付けろよ……だったか?

 やりたい事が特になかった昌喜には、とりあえず学歴は必要だぞといって大学進学を勧めていた。

 双子には、互いの存在を改めて認識してみろと、今は積極的に単体で行動させている。

 僕への宿題は初恋の次はなんだ?ときたものだ。

 宿題の答えは無理に出すことはないだろう。打ち合わせの時に答えが見つかるかもしれないし、結果的に分からないかもしれない。

 貰った台本を鞄に仕舞って僕は事務所を後にした。



初恋ショコラの名称に対しての利用は、春隣豆吉様に許可を頂いています。

話の流れには全く関係はありませんが、こんな感じにたまに出てきます。

今……初恋の日当日って、ビビッドでネタやってないことに気がついた(笑)


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