二つの出会い
どーもです。
高校1年の悪知恵フル活用して書きました。
見てってくれると嬉しいです。
宜しくお願いします。
えっと、どうもこんにちわ。この物語の主人公っす。つまり騙り部の僕です。名前は来栖一です。
冬休みが明けるといつも「名前簡単なのに苗字覚えずれーよ。」なんて言われるような名前です。
ついでに言っとくと、自宅は都心に1時間もあれば着くような場所で、最寄りの駅近くはそこそこにぎわってるね。
でも、最近は夜を出歩くは少ない。
なんでかって?そりゃーあれしかあるめぇよ。
主にナイフを用いて人をメッタ刺しにするのに興奮を覚えてしまった人が、この街を徘徊しているからじゃないすかね?
そう。僕の街は今、殺人鬼がどこらへんかをうろついている。確かに怖いよ。
でも、僕は危険を顧みずに殺人鬼に立ち向かうような因縁などない訳でこうして布団で寝ているんだけどさ。ていうか、警察の皆さんもっと頑張って。
そうそう、その殺人鬼。そいつは証拠をいっさい残さないことで有名なんだよね。専門家もお手上げだそうだ。専門家曰く、証拠を残さないのではなく"残らない"らしい。
きっと天性の殺し屋なんだね。間違ってもそんなヒットマンを家庭教師に選びたくないよね。
今、見つかってるだけでも3人は殺されている。
テレビなんかのおかげでこの街もすっかり人気だよ、悪い方にさ。
殺害された人は中年サラリーマンに女子大生、男子小学生だったっけ?
選り取りみどりですね。
死因は全て刺し傷で全員顔が原形を止めない程にぶちのめされてい。
でも致命傷はみんな腹部の大きな刺し傷。
それにしても、なんでこんなに冷静かって?
それはみんなも経験あると思う。
朝ニュースを見て、全く自分とは関係のない場所で起きた殺人事件に恐怖を抱かないと思う。
へぇ、今日も殺人事件か、くらいだと思う。
僕の感覚的にはそんな感じ。
僕の周りの人達は知らないけど。
とりあえず時間だしそろそろ学校に行くか。
「気をつけてね。」
母さんが心配そうな声音で言う。
「大丈夫だから、行ってくる。」
そう言って出かけると外は空に雲が何個かあるような晴れだった
少し歩いていると、ふと後ろから誰かいるような気配がする。別に当たり前のことだけど、やっぱり僕もニュースの影響を受けてるみたい。ていうか僕の背後に立つなよ、撃つぞ。
ちょっとドキドキする。
少し足早に歩いてみる。
後ろの足音も早くなる。
軽く走ってみたりする。
後ろも走ってくるよね。
その瞬間、背中に衝撃を感じた。
「おはよーッ!はじめ。」
こいつ、飛びついてきやがった。
毎度の事といい痛いし、恥ずかしいしやめて欲しい。
紹介します。幼なじみの七海ひかるだ。
基本的にバカで救いようがなくて、でも勉強だけはなぜかめちゃくちゃできるとゆー訳わかんない奴だ。
「ちょっと!失礼じゃない!?」
思ったことが口に出てたかな?
「何が?」
「あたしが毎日飛びついてるのに一度も胸で受け止めてくれない。」
どうやら口には出てなかったみたい。
「おはよ、ひかる。今日もバカだね。」
「うん、おはよ。て、はぁ?誰がバカよ!悔しかったら一度でもあたしにテストの点で勝ちなさい。」
それを出されると僕はどうしようもないな。
なんせひかるよりいい点取ったことないしな。
「それよりもひかるもニュースくらい見てんだろ?少しくらい気をつけろよ。」
「はーい。さぁ学校行こ行こ。」
僕の高校は家からバスに乗って、電車に乗って、さらに歩くからけっこう遠いのである。
正直めんどい。
そんでひかるとも一緒なんで疲れることこの上ない。
電車から降りて、学校へ向かうとき変な物を見かけた。
路地裏をふと見ると、ポリ袋があった、40ℓのだ。
…あんなところに誰がゴミを捨てるんだろう。
見ていた時間は1秒くらいだったけど、僕ははっきり見てしまった。
その袋の中身が一瞬動いたのを。
見間違いか?
「ちょっとひかる先行ってろ。」
「へ?なんで?」
「ちょっと気になる物を見つけたからね。」
「あたしも一緒に行くよ!」
「だーめ。でも、すぐ行くから教室にいて。」
「物分かりがいいのがあたしの美徳なんだからね?気を付けてね。」
「うん、わかってる。」
そういってあたしは学校に向かった。
あたしは知ってる。こういう時のはじめって何かに首を突っ込んだり、親切心かな?ほっとけないって心に突き動かされてるんだ。
こういう時はじめが言うことは大体当たるのも知ってる。
だから、教室で待ってなきゃ。
なんでもなかったよってはじめが言ってくるのを待ってね。
そしたら飛び付いて抱きしめてやるんだから。
そろそろ高校も近いし同じ制服を着た人をちらほら見かける。
「あ、ひかるおはよー。」
間延びした声でどこかのほほんとした感じ、お前ゆっきゅんだなッ!
って冗談は置いといて。
「おはよー、ゆみ。」
あたしの友達の清水優美。
「あっれー、ひかる。来栖くんは?」
「うちの主人たら好奇心と駆け落ちしちゃって。」
「え?あー、またなんか首突っ込んだんだ。」
「そうみたい。」
「今さ危ない人うろついてんじゃん。大丈夫かなぁ。」
「だ、大丈夫だよ、きっと。教室で待ってれば来るって言ってたし。」
「ふむ…。なら、大丈夫だね。」
でも、はじめは来なかった。1時間目も2時間目も。
なんだろう、集中出来ない。
もう3時間目だよ。はじめ大丈夫?
どうしてこうなった!?
僕は今、女の子と手をつないで走ってる。
いや、うらやましい?
どこがだよ?後ろに殺人鬼引き連れてんだよ?
ま、まぁ僕の説明を聞いてくれ。
回想シーンにインするよ。
僕は路地裏に見つけたポリ袋に近づく。
なんだろう。嫌な汗をかく。
全身の血は煮えたぎって暑いのに心は冷えきってる感じだ。
これに触れたら僕の人生が変わってしまうんじゃないか。
そんな不安が脳裏によぎる。
ポリ袋を見る。
人だ…!人が入ってる!
そしてポリ袋だと思っていたもの、違う。
ポリ袋じゃない。
少し厚いゴムのような物で出来ていて、外装はポリ袋と同じになっている。
「ど、どうやってこの中に人をいれたんだ。」
それに、このままだと窒息死してしまう。
さっき動いたのを見てから2分程しか経ってない。
僕はカバンからハサミを取り出し、力任せに切る。
少し穴が空いた。
もう少し切って手で広げる。
女の子は、意識がない。
どうすれば……人口呼吸?
非常時にそんなこと考えてられない。
昔、保険の授業で習ったことを思い出して一通りやる。
「うっ…。」
良かった。息がある。
「大丈夫か。」
「こ…こはど、こ?」
「路地裏だよ、どこか痛いところある?」
「大丈夫です。助けてくれて、ありがとう」
ひとまず良かった。
「え…嘘。なんで。」
彼女が口をパクパクさせて言う。
「どうしたの?」
瞬間、僕の手を握って走り出した。
僕が入って来た方とは逆に走っている。こっち側は人通りがすくないからあまり使ってない。
「あいつが来る。捕まったらだめ。走って!」
「わ、わかった。」
走り出す際、一瞬だけ振り向く。
人影が1つ見えた。
向かって、来ているッ!
やばい!って生まれて初めて実感した。
路地裏を抜けて走り続ける。
この先には何もない。
いや、神社がある。
「そうだ、神社に行こう!」
「私も同じこと考えてたの。急いで!」
神社は林みたいになってていつも神主さんがいる。
でも、神主さんに頼る暇なく僕たちは木の陰に隠れた。
「これからどうする?」
心配になって聞いてみる。
「私もノープランだった。どうしよう。」
考えろ。自分が何をできるかを考えろ。
この子をどうやって逃がすか、だ。
そしてすぐ男が来た。
携帯を出そうとすると、
「警察には言わないで。調べたら全員一度逃げ警察に電話してるみたいなの。」
「そう、なの。」
詳しいな。もし無事に逃げたら色々聞いてみよう。
「大丈夫。聞かれなくても答えるわ。」
まるで心を見透かしたように言ってきた。
「それよりも"今"を乗りきりましょう?」
「わかった。」