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掴み損ねた宝石  作者: 河野 る宇
◆かくれんぼ
3/13

*その青年

「やっぱり嫌なやつでした。副司令と顔は似ていてもぜんぜん違います」

 挨拶を終えた少女は、怒りが収まらないのかその足取りにやや勢いがあった。

「戻ってプリン食べます」

 ──とドアを開くと、そこには見慣れない空間に記憶にある人物が立っていた。

 少女はまたもやプレハブの扉を開いたのだ。もちろん、以前のプレハブとは異なる。

「……」

 青年はいぶかしげに少女を見下ろすが、彼女だって眉を寄せずにはいられない。

「またお会いしましたね」

「そうだな」

 数秒して、居心地が悪そうにしている青年に問いかける。

「あなたは誰ですか?」

 少女の瞳は、まっすぐに青年を見上げて離さない。

 それに観念したのか、彼は小さく溜息を吐くとパイプ椅子に腰を落とした。

「ベリルという」

「! ベリル、ですか。私は空月そらつきNネメシエルあおと言います」

「そうか」

「まだ答えていませんよ」

 立ち去ろうとしたベリルの手首をぐいと掴む。

「何を答えれば良い」

「ぜんぶ」

 それにベリルは眉をひそめた。

「あなたは軍人ではありませんよね」

「傭兵をしている」

「! 傭兵?」

 答える気になった青年の手首から手を離し、向かいの椅子に腰掛ける。

「マックスに雇われたのですか?」

「? ああ、コグレの司令官か。いいや、ここには別の用件で来た」

「その用件とは?」

 問いかけた蒼から視線を外す。

 どうやらそれには答えたくないらしい、ますます怪しい。蒼はまるで尋問しているような気分になって、なんとなく険しい雰囲気を作ってみた。

「答えられないのですか」

「先ほどネメシエルと言っていたか」

 話を逸らすように青年が口を開く。

「軍の者にしては随分と若く感じていたが」

 切った言葉の先は蒼にもすぐ想像がついた。

「そうです」

 こちらも同じように言葉を切って返す。

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