*見つけた
慣れない基地に、特に会いたくもない相手に会いに行く──テンションなど上がる訳もなく、出来ればこのまま引き返したいと肩を落とす。
攻撃を受けた島のあちこちは未だ破損が激しく、修復のために簡易のプレハブなどが点在していた。
少女は事もあろうにそのうちの一つに手を伸ばす。
陸軍の宿舎がプレハブであるはずもないのだが、だだ下がりのテンションはある意味、奇跡を生むのかもしれない。
修復に使うものなどを置いておくプレハブは広いとは言えない。
「……」
そこにいた青年と目があった。
その瞳に釘付けになる──それはまるで、エメラルドのように澄んでいて静かに少女を見下ろしている。
金色のショートヘア、整った顔立ち。細身だが、服の上からでも鍛えられていると解る体型だ。
「やあ」
にこりと微笑まれ、「どうも」と思わず少女は返した。
「あの、陸軍の方ですか?」
「陸軍? 宿舎はあっちだよ」
よく通る声で優しく発し、手を示す。
「ありがとうございます」
「いいや」
軽く会釈をして示された方に歩く──しかしふと、
「いまのは?」
そういえば軍服を着ていませんでしたね。25歳くらいでしょうか? 綺麗な男性でしたけど、初めて見る顔でした。
ゆったりしたブラウンのソフトパンツに前開きのシャツはダークブルー、軍人には見えなかったけれど、どこか一般人とも違うように感じた。