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掴み損ねた宝石  作者: 河野 る宇
◆かくれんぼ
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*迷子

*レルバルさまの作品「超空陽天楼」を基盤としたパラレル作品。レルバルさまとのコラボ作品です。

「めんどうですわね」

 少女は、そうつぶやいて基地内を歩いていた──ベルカが世界に戦争を仕掛けられて、さほどの日数は経っていない。

 実際はどうか解らない、それほど唐突に状況は一変した。

 ベルカ帝国はもはやこのコグレ基地のみとなり、風前の灯火とも言えた。周り中が敵だらけというなか、本当に自分たちだけが取り残されたのかもはっきりとは確認出来ていない。

 腰まであるブラウンの髪を緩やかな風になびかせて、目的の場所に向かう。

 大きいとは言い難いコグレ島は、辺境にあったために敵からの攻撃は遅かった。それによりベルカの超空要塞戦艦ネメシエルと、戦艦3隻が間に合いベルカの残された希望となる。

 世界がどうなったのか、島にいる全員の心中には、常に不安が奥底でくすぶっていた。

「はぁ……」

 空と同じ色をした瞳で仰ぐ。太陽の光りに少し目を細めて、小さく溜息を吐き出した。

 祖国を取り戻すために、まずはここから近いニッセルツを奪還すべく作戦を進めているのだが──少女は気が重かった。

 円滑な連携のためにこれから陸軍に挨拶に行かなければならない。

 プライドの高い彼らに歓迎されるとは到底、思えないがこれも作戦遂行のため。

「あら? ここはどこでしょう」

 コグレに慣れている訳でもない少女は、見知らぬ場所に首をかしげた。

 軍服を整えて周囲を見回す。

 先ほどいただいたマックス司令の紙切れは役に立たなかったし、ここはやはりネメシエルに頼むしかなさそう……と再び空を仰いだ。

 第三次世界大戦からおよそ20年が経ったいま、世界から喧嘩を売られるなどと誰が予想出来ただろう。

 科学の発展はめまぐるしい。

 戦艦が空を舞うようになっておよそ40年、それが『核』という人工生命体による制御機能を持つようになって20年──兵器が強力になるにつれ、戦いは過激さを増していく。

 戦艦は『核』を持ったことで船員を必要としなくなり、全てを装備につぎ込めた。

 この少女はまさにその『核』である。そして、最強の戦艦ネメシエルを操る者だ。

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