客車転生
僕は小説だとモブキャラと言っても過言ではないキャラだ。
そんな僕だが、朝起きると体に違和感を覚える。
「う~~ん…?」
頭があまり回らない。寝起きだからだな。
「………?視界広くね?てか、右にも左にも動けない…。
なんなら前にも後ろにも行けない。」
注意深く周りを見てみると、なにやら作業員っぽい人達がたくさんいる。
ヘルメットには稲妻っぽいマークが描かれている。
その中の1人が僕を指差してこう言った。
「あの新しい客車、点検終わったか?
点検が終わったら、“急行阿蘇”として東京から阿蘇まで走るんだから、
しっかり確認しろよ?」
「…急行阿蘇…?なにそれ。」
急行阿蘇なんてもの知らないけど、阿蘇山という山が熊本にある、それだけは知っていた。
「…熊本の方まで行くのか?っていうか、ここどこだよ!」
そう思っているうちに、青色のでかい塊みたいなのが来た。
「…あれ、なんだ?」
「…ん?近づいてきてな——?」
気づいたら、“連結”なるものをされていた。
この塊に引っ張られていくと、どっかの巨大駅に着いた。
駅名の書いてある看板を見ると、“東京”と書いてあった。
「え?東京!?」
こんな形で人生初の東京駅に来るとは思いもしなかった。
思いもしなかったが、周りを見ると、明らかに古そうな電車が何台も停まっている。
「…周り、暗いなぁ。」
駅ホームの案内が聞こえる。
「急行阿蘇、まもなく到着します。」
ホームに停車し、ドアが開く。
ホームにはたくさんの乗客がいる。
「…この人数を乗せて走るの…?!」
だいぶ絶望した。




