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写真

作者: WAIai
掲載日:2026/07/07

「こっち向いて」


カシャリと音がし、俺は眉根を寄せる。

次の授業まで、あと5分あった。


「何それ?」


指差して彼女が持っているものを見る。

カメラらしいのだが、どうも見たことのないものだった。


デジカメでもないしと不思議がっていると、彼女がカメラを前に出し、胸を張って言う。


「これね、使い捨てカメラなの。新しいモデルが出たから買ってみたんだ」

「使い捨てカメラ? 何だ、それ?」


俺は腕を組み、険しい顔をすると、彼女がまたパシャリと撮ってくる。


「あのね、充電とか気にしなくていいし、白黒加工にできるの。便利なカメラなんだよ」

「…へえ。珍しいものなんだな」

「親に聞けば懐かしがるかもしれない」

「そうか。…で、俺を撮ってどうするの?」

「どうって、その、好きな人を撮っておきたいものなのよ。女心としては。お守りにもなるし」

「そういうものか?」

「そういうものだと思って」


もう1枚、パシャリと撮ると、彼女はカメラをおろす。


「現像したら、欲しい?」

「くれるのか? お金は?」

「いいわよ。そんなに高いものじゃないし」


そう言って、彼女が離れようとしたので、俺は慌てて止める。


「ちょっと待った!!」

「え、何?」

「俺にも1枚、撮らせて。頼む」


新しい商品に興味があった。

彼女は迷わず、俺にカメラを差し出してくる。


「撮る時はここを押すの。分かった?」

「分かった」


うなずくと、彼女をカメラ越しに見つめる。

彼女は戸惑ったようだが、笑顔を作ってくれる。


俺の女神様だと思いながら、ボタンを押す。


パシャリ。


小気味いい音が響く。

まるで鳥の鳴き声に似ている。


「これで撮れたのか?」

「うん。大丈夫。…あ、先生が来た」


彼女は慌てて自分の席に戻る。


次の授業は社会で、俺の得意な科目だった。

先生は鹿みたいな顔をしており、教壇に立つ。


写真、楽しみだな。


そう思い、席から立つのだった。






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