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賢者の館.12


「後はアクセサリーだけね。」


“ベール“は寝室にあった布を"コサージュ"は先ほどレイラが魔法で出したフェリキスの花をリボンで結び用意をした。

 残りは“金属のアクセサリー“のみとなった。そんな中アルバートがゆっくりと口を開いた。


「実はさっきからずっと考えていて、アクセサリーはこれを使おうと思ってるんだ。」


 アルバートはそう言うと自身の首後ろに手を持っていき何かを取ったかと思うと3人の前に差し出した。

 そこには綺麗な空色の宝石が一等輝いているネックレスであった。


「ええ⁉︎でもアル、それって。」

「いや、それお前の家の家宝じゃねぇのかよ⁉︎」


 エリオットとレイラはそのネックレスを見た瞬間揃えたかのように同時に驚きの声を上げる。

 エリオットが家宝といったように空色の宝石の中には何やら鳥を模した家紋のようなものがキラキラと輝いている。


「だ、ダメよ。家の人に怒られるわよ!

それにアルの大事な宝物じゃない?」

「そうだぜ!考え直せよ。それにアクセサリーが要るってんなら俺のこのピアスを使えよ。」


 エリオットとレイラの2人は必死にアルバートを止めようとする。何故ならこのネックレスはアルバートの家に代々受け継がれて来たものであると同時にアルバートがとてつもなく大切にしていたことを2人は知っていたからである。


「いや、これでいいんだ。」


 アルバートは必死に止める2人を他所にネックレスを見つめながら微笑む。


「で、でも。」

「これじゃないとダメな気がするんだ。それにこれはもともと賢者様の物だ。本当の場所に返すだけだよ。」


 アルバートはそう言うとネックレスを握りしめると2人を見つめる。アルバートの固い決心を感じたエリオットとレイラの2人はお互いに視線を合わせるともう何も言わなかった。



ーーーーーーーーーーーーーー



 “ベール“ブローチ"アクセサリー"の全てが集まり、4人は再び絵画の前に集まった。4人は絵画の前に立つと絵画を見上げる。

 静かな静寂がこの場を支配していた。暫くするが何も起こらない。

 やはり何も意味がなかった、エリオットとレイラの頭にはただその文字が浮かんでいた。


 イオリは静かに絵画の中の女性を見つめる。

ふと女性と目が合った気がしたその瞬間、持っていた3つの物が突如として淡く輝き出した。


「⁉︎」


 3つは輝き出したかと思うと絵画の中へと吸い込まれていくではないか。

 そして気がつくと絵画の中の女性は頭にベールを身に纏い、胸にはコサージュをそして首物にはネックレスの宝石が光輝いていた。

 4人が呆然と絵画を見つめているとイオリは絵画の女性と目が合った。女性は嬉しそうな笑みを浮かべイオリを見ている。

 すると突如部屋の明かりが消えて、女性の周りを飛んでいた蝶たちが輝き出したかと思うと絵画の中から飛び出して部屋の中を駆け巡る。

 蝶達が通った場所はオーロラを放ち、天井には星々が輝き出した。

 そして最後に蝶達は4人の周りを嬉しそうに飛びまわると絵画の中へと戻った。その瞬間、絵画は今までとは比べ物にならないほどの輝きを放った。

 あまりの眩しさに4人の視界は奪われてしまう。


「ッッッーーー」



 暫くしてゆっくりと輝きは落ち着いていき、部屋には再び静寂が訪れる。

 4人がゆっくりと目を開けると先ほどまで絵画が飾られていたはずの額縁の中に地図が現れていた。


「あ、あった〜〜〜〜〜!!!」



 誰ともなしに喜びの声が上がったかと思うとレイラはアルバートへと勢いよく抱きつく。そんなレイラを抱き止めながらアルバートはエリオットの方へと視線を向ける。エリオットもそんなアルバートへ視線を向けると暫く見つめ合いどちらからともなく笑顔でハイタッチをした。


「アル、やったわね!」

「俺たちなら出来るって信じてたぜ。」


 エリオットとレイラは嬉しそうにアルバートとへと声をかける。

 アルバートは2人と共に喜びを分かち合う。しかしこれはまだ始まりにに過ぎないのだ。アルバートは嬉しそうな2人に真剣な表情を向ける。


「エリオット、レイラ。これはまだ始まりに過ぎない。これから長い道のりになると思う。」


 アルバートの真剣な表情、そして口調に2人も先ほどとは打って変わって真剣な表情でアルバートを見つめる。


「長い道のりになったとしてもついて来てくれるかい?」


 アルバートはそう言うとエリオットとレイラの2人を見つめる。2人はお互いに視線送り合うとアルバートに向けてニッと笑う。


「「もちろん!!」」


 そしてアルバートはイオリの方へと向くとイオリの頭へ手を伸ばす。イオリは少し身体を硬くさせると目を瞑った。


「イオリ、ありがとう。」


 アルバートは笑顔を浮かべながら優しくイオリの髪を撫でる。

 イオリは暫く撫でられたままでいる。


「うん。」


 イオリが小さな声で返事を返すとアルバートの手がゆっくりとイオリの頭から遠のいていった。イオリは暫くアルバートの手を真似するように自身の手で自身の髪を撫でるのであった。 


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