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賢者の館.10

 

 4人はその後リビングへと移動し精霊の作った食事を囲んでいた。

 アルバートはイオリの横に座り、その向かいにエリオットとレイラが座っている。

 イオリは改めて横にいるアルバートの方をみる。サラサラの金の髪に空の様な透き通った青い瞳のアルバートはニコニコとイオリのことを見つめていた。


「改めて紹介させてくれ。僕はアルバート、アルって呼んでくれ。イオリの目の前にいるのがエリオット、その横にいるのがレイラだ。」


 アルバートからの紹介が始まり、イオリが前を見ると榛色の髪に赤色の瞳を持ったエリオットが赤色の瞳を鋭くさせ不機嫌そうにイオリを見ている。

 慌ててその視線に逃れるように隣へと目線を外すと藍色の髪をハーフアップにして、髪と同じ色の瞳を持つ綺麗な少女がイオリの方を見つめる。


「レイラよ。よろしくね。あなたが幽霊じゃなくて安心したわ。」


 レイラはそういうとニコッとイオリにへと笑いかける。


 イオリはそんなレイラの姿を見つめてコクっと頷く。その姿を見て嬉しそうにレイラはより一層笑顔を深める。

 アルバートとレイラがイオリのことをニコニコと見つめていると


「よろしくなんかしねぇよ。こんな怪しさMAXのやつなんかと。」


 そんな中、穏やかな雰囲気を引き裂く様にエリオットの不機嫌そうな声が響く。エリオットは敵意剥き出しでイオリのことを睨みつけた。そんな姿を見てレイラはエリオットの肩を掴み話しかける。


「ちょっと、そんな言い方ないじゃない!怖がらせるでしょう!!」

「知るか!テメーもアルも得体の知れない奴にベラベラと自分達のこと話すんじゃねぇよ。怪しすぎるだろコイツ。コイツが奴らの仲間だったらどうするだよ!」


 エリオットはレイラの手を振り払うと立ち上がって腰から杖を出したかと思うと杖をイオリへと向けた。

 それを見たアルバートは前に手を出してイオリを庇う。


「エリオット、君が疑うのはよく分かる。だけども僕らと同じ様な年の子が奴らの仲間の可能性はほぼないだろう。それに...。この子は大丈夫だ。」

「はぁ⁈何を根拠にそんなこと言ってやがるんだよ。」

「大丈夫なんだよ。そう、そういう気がするんだ。」


 そう言ってイオリを見て微笑むとエリオットの方を向き静かに見つめる。アルバートとエリオットはしばらくお互いに見つめあう。


「「、、、。」」


 沈黙が部屋に広がる。


「はぁ、もう良いよ。わかった勝手にしろよ。」


 エリオットはため息を付きながら杖を腰にしまうと椅子へと座り直す。

 アルバートはそう言ったエリオットをニコニコと見つめた。


「さすがエリオット!僕の親友だ!」

「ふんっ」


 エリオットはそっぽを向くがその耳は少し赤くなっている様だった。

 そんなエリオットをニマニマしながらレイラは見てやる。


「おい、テメェ!なに見てやがるんだ!!」

「別にぃ、見てませんけど。」


 レイラはそういうとニマニマした顔のまま前を向く。

 一気に場の雰囲気は明るくなり、さっきまでの張り詰めた雰囲気が嘘の様になくなっていた。


「おい!このブッッッ」


 エリオットがレイラに何か言おうとした瞬間、突然精霊がエリオットの上に降ってきてエリオットの頭にぶつかった。


「オ食事ガ冷メテシマイマスヨ。」


 精霊の言葉にアルバートとレイラは食卓へと目を向ける。

 暖かそうに湯気の上がったスープにふわふわとしてそうなパン。そして新鮮そうにキラキラと輝いているサラダに油の乗ったチキンなどがテーブルはと並べられる。


「そうね!早く食べないと冷めちゃうわ。」

「そうだね。早く食べよう!」


「おいッッッ!テメェ何ぶつかってきてんだ!」


 エリオットはぶつけられたところに手で押さえながら頭を持ち上げると精霊に向かって叫ぶ。

 そんな怒っているエリオットを無視して、アルバートとレイラは目の前の食事に目を輝かせる。

 イオリもこんなに多くの料理が出ることが初めてで少し驚いた様に目の前のテーブルを見つめる。


「デハ、ゴユックリ。」


 そういうと精霊は飛んでいってしまった。エリオットは杖を出して精霊を追おうとする。


「おい!待て、このやろう!」

「まぁまぁ、エリオット早く食べようじゃないか。」

「本当、すっごく美味しそう。」


 アルバートとレイラは目の前の食事に向かって手を合わせる。

 エリオットはイライラしながらも食事に目をやる。目の前の食事はどれも美味しそうで空腹だったお腹はグゥっと元気良く虫が鳴いた。

 エリオットはコグっと涎を飲み込むと渋々といった様子で席に座る。


「それじゃ、いただきます!」

「いただきまーす」

「ハァ..。いただきます。」


 3人は食事の挨拶を終えると目の前の豪華な食事へと手を伸ばす。


「...いただきます」


 イオリはチラッとアルバートの方を見て、同じように手を合わせてご飯を食べ始めた。



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