はじまり?
月の光が真っ暗な部屋に差し込む。差し込む光の先には1人の少女が身体を丸めながら床に座っている。
少女の髪は長さも不揃いで整えられておらず服装も格好似合わず大きく、お世辞にも綺麗と言えるものではない。そして大きな服から伸びる手足は細く青白い。
ふと少女の隣の部屋から声が聞こえてくる。
「〜くん。歯磨きしたんなら早く寝なさーい。」
「やだー!パパ帰ってくるの待つんだもん!」
小さな少年の声とその母親らしき声が楽しげに話している。
「もう!早く寝ないと明日起きれないわよ。早起きして遊園地に行くんでしょ?」
「明日は遊園地だからパパが忘れないように教えてあげなきゃ行けないの!」
隣の部屋は少女がいる場所とは正反対に明るく、そして眩しい場所であった。
「大丈夫。ママがパパに言っといてあげるから先に寝なさい。〜〜〜。」
「〜〜。〜〜〜。」
少女は楽しげな声に気にする様子もなく、月の光に導かれるように窓を開けてベランダに出る。外は冷たく少女が呼吸をするとそれに合わせて白い息が夜空に飲み込まれてしまう。
少女が夜空を見上げるとそこには月と多くの星々が輝き、少女の瞳に反射する。
少女はベランダの柵に掴まると焦がれるように夜空へ手を伸ばす。躊躇いもなく、ただ真っ直ぐにーーー