月華祭に向けて③
エドアルドの礼服編
エドアルドのために仕立てられた礼服は、まさしくルーナティアの色で彩られていた。
上質な白金色の生地に、蜂蜜色の繊細な刺繍が施され、まるで月光の煌めきを織り込んだかのように優美に仕上がっていた。
鏡の前に立つエドアルドは、ゆっくりと自分の姿を確かめる。
そして、ふっと笑みを漏らした。
「ルーナの色だな……」
その声には、明らかな陶酔が滲んでいた。彼の視線は、すぐにルーナティアへと向かう。
「ルーナ、どうかな? 君が思い描いた俺になれているか?」
エドアルドの甘く優雅な声に、ルーナティアは一瞬息を呑んだ。
彼女が思い描いた通りの、いや、それ以上に美しく、彼女の色に染まったエドアルドがそこにいた。
「とても……素敵ですわ」
まるで芸術品のような姿に、ルーナティアは恍惚とした表情を浮かべながら呟いた。
しかし、エドアルドはその言葉だけでは満足しない。
彼は一歩、また一歩とルーナティアへと近づき、彼女の手を取りながらそっと囁く。
「でも、君の視線が足りないな。もっと俺を見てくれ、ルーナ」
彼の言葉に、ルーナティアの頬が熱を帯びる。
目を逸らそうとするが、エドアルドは彼女の顎に指を添え、そっと顔を上げさせた。
「祭りの夜、君がどんな風に輝くのか……俺は待ちきれないよ」
ルーナティアはふと想像する。満月の夜、シャンデリアの灯りを受け、彼女の色に染まったエドアルドが優雅に舞う姿を――。その幻想的な光景に思いを馳せた瞬間、彼女はふわりと目を伏せた。
「ルーナ?」
エドアルドが囁く。だが、ルーナティアは心ここにあらずといった表情で、どこか遠くを見ていた。
彼は小さく息をつき、次の瞬間、ルーナティアの腰を引き寄せた。
そして、驚く彼女の唇に、そっと己の唇を重ねる。
ルーナティアは一瞬、目を大きく見開いたが、すぐに瞼を閉じた。
深く、優しく、それでいて逃がさぬような接吻。息をするために開いた口に忍び込む彼。
まるで、彼女の心がどこにも行かないように留めるかのように。
「……これで、戻ってきた?」
唇を離し、エドアルドが微笑む。
その目は、まるで自分の色に染め上げた獲物を愛でるかのように、甘く、そして独占欲に満ちていた。
「ええ……もう、どこにもいきませんわ」
ルーナティアはふわりと微笑み、彼の胸にそっと額を寄せた。
満月の夜。二人は、お互いの色に染まり、ただ一人だけを映す光となるのだろう。
もう歯止めがききません。
まあ、私の小学の友人は16歳にして妊娠出産をしたのでそれに比べれば、まだまだ二人は健全ですね
安心してください。きっとお楽しみは結婚式後にとっておくはずです。
きっと。たぶん。