何一つ、持っていないボクを君は好きだと言ってくるの?
君には付き合っていた男性がいた。
彼は大金持ちで、地位も名誉もなんでもあった男性だった。
彼は彼女を、とても大事に想っていた。
誰が見てもそう思っていたし、ボクもそう思っていた。
・・・でも? ある時、彼女から耳を疑う話を訊く。
『“本当に好きなのはあなたなの。”』
『えぇ!?』
『びっくりした?』
『・・・そ、そりゃ、ビックリするだろう。』
『彼にも、この話はもうしたのよ。』
『えぇ!? なんで!?』
『なんでって、私の本心だから。』
『ボクはずっと君は、彼の事が好きなんだと想っていたんだ。』
『“私もそう想おうと思っていたわ。”』
『・・・ち、違うの?』
『そうね、違うわ。』
『・・・で、でも? ボクにどうしろと言うんだい?』
『“私を好きになってほしいの!”』
『・・・そ、そんなの無理だよ、ボクは何も持ってない! でも彼は
なんだって持ってるじゃないか!』
『・・・そうね、でも持ってないから何?』
『ボクはお金もないし、住むところだってその日暮らしで、転々と
住む場所が変わるんだよ、食べるのだってやっとだし!』
『それでも私はあなたが好き。』
『君は変ってるよ! 他の女性なら? 皆彼を選ぶと思う!』
『そう、でも私はあなたを選ぶわ。』
『毎日ご飯が食べられないかもしれない! お風呂だって1週間に1回
しか入れないかもしれないんだよ。』
『それでもいいの!』
『君は頭でもおかしくなったのかい?』
『私は冷静よ。』
『・・・ど、どうして?』
『“私のあなたへの愛は変る事がないからよ。”』
『“愛?”』
『愛は海よりも広いの。』
『・・・君がボクに何が言いたいのかよく分からないんだ。』
『愛は海の底よりも深い。』
『・・・・・・』
『今すぐ、私の気持ちを分かってほしい訳じゃないわ! ゆっくり時間を
かけて知ってもらえればいいの。』
『・・・・・・』
彼女は詩人なのか?
ロマンティストでミステリアスな女性だと感じた!
でも? ボクには彼女の言っている事がよく分からない。
“あんなステキな男性と別れて、何故? ボクと付き合いたい
というのか?”彼女はおかしくなったのか?
・・・でもね? ボクも彼女にああ言われて嬉しかったのは事実だ!
ボクもどこかで彼女の事が好きだったと気づく。
だけど、彼とボクを比べた時、女性もが彼を選ぶと思うんだ!
間違いないなく! ボクじゃなく彼をね。
それなのに彼女は僕を選んだ。
もの好きとしか言いようがない。
彼女は何故? “彼と別れてボクを選んだの?”
*
・・・ボクは彼女と付き合って随分と経った。
今は彼女は僕の隣でよく笑っている。
つまらない事でよく二人で笑うんだ!
彼女の笑う顔が僕は大好きだよ。
そして、彼女がボクによくこう言うだ。
『私はあなたと一緒に居るようになってよく笑うようになったわ。』
彼女は、“彼と一緒に居た時は、ちゃんと笑えていたのだろうか?”
愛想笑いだったんじゃないかと思う事がある。
でも? 今の彼女は本心から笑ってるようにボクには見えるんだよ。
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