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第5話 南由の体について記されたサイトがある…⁉


 変態が集まる闇サイト?

 本当にそんなものが存在するのか?

 夏央はスマホを右手に、悩みこんでいた。


 翌日の今、夏央は校舎内の裏庭らへんにいる。

 昼休み時間中にスマホ画面を見つつ、裏庭のベンチに腰掛け、購買部で購入したパンを左手に持っていた。


 今日の朝から闇サイトと呼ばれるサイトを調べているのだが、全く見つけられずにいたのだ。

 昨日の夜に出会った露出狂の変態が言っていた変態が集う闇サイト。それは一体、どんなものなのだろうか?

 そのサイトに、南由のことが書かれているのか?

 でも、なぜ、南由のマ●コのシマリとかが話題になっているのかわからなかった。


 おっぱいとかであれば、あからさまに大きく、誰かが魅力に感じ、ネットに記すこともあるかもしれない。

 けど、マ●コのシマリに関しては、意味不明である。


 そもそも、シマリについてはどこ情報なのだろうか?

 手に持っているパンを口にし、スマホ画面を片方の指でタップし、さらにサイトを探してみる。


「……」


 本当に見つからない。

 でも、変態がサイトのことを言うということは、少なからず、あるということ。

 夏央は探せないことに少々苛立っていた。


 妹のマ●コのシマリが一部の変態らに知れ渡っているのなら、どうにかして拡散を食い止めたい。

 そう思うものの、変態が集まるサイトが見つからないのだから、先に進めないのだ。


 夏央はパンを食べきった後、スマホを制服のポケットにしまおうとする。


 どうしようか……。

 解決方法は見つからず、ひたすら悩むしかなかった。


 スマホで調べられないのなら、学校のパソコン室にでも行って、調べてみるのも一つの手段だと思い、ベンチから立ち上がる。

 そして、裏庭から校舎の廊下へと入った。


 刹那、体に当たる。

 夏央の体がよろめいてしまう。が、何とか態勢を立て直すことができたのだ。

 何? と思い、視線を前へと向けた。


「ごめんね……って、夏央?」


 接触したのは、クラスメイトのキアラだった。


 彼女は派手目な服装。金髪のロングヘアであり、印象に残りやすい容姿をしている。制服は着崩している方であり、先生からも指摘されることも多い。

 だが、先生らに言われたとしても、キアラはそこまで気にはしてはいないようだ。


「それで、夏央は裏庭にいたの?」

「まあ、そうだけど」

「私、夏央を探してたんだよ」

「何か用事とか?」

「いや、そんなんじゃないんだけどさ。なんとなく」

「なんとなく?」


 特に理由もないのに、なぜ、キアラは距離を縮めてくるのだろうか?

 クラスメイトゆえに、関わることが多いのだが、彼女の場合、話しかけてくる頻度が異様に高い。


 ふと、夏央は嫌な予感が脳裏をよぎる。

 キアラがいるということは……。


「あなた達は、ここに居たのですね。それと、平民は私のところから勝手に居なくならないで欲しいんですが?」


 声のする方へ視線を向けると、やっぱりかと思う。


 銀髪のポニーテイル。自称令嬢の藤花。家はお金持ちであり、基本的に上から目線の発言が多く、若干他人から距離を置かれることが多い。


「なぜ、勝手に俺の生活を、君に管理されないといけないんだよ」

「それは、あなたが平民だからよ」

「……平民って、そうかもしれないけど。別の言い方ってないのか?」

「それは今のところはないわ。それで、平民は今からどこへ?」

「なんで、言わないといけないんだよ」


 夏央は逃げ出したかった。


 キアラと藤花。

 二人のクラスメイトに囲まれるということは、確実に面倒事になりかねない。

 それはいつものことでわかりきっているのだ。


 二人から視線をそらし、背を向けようとする。

 キアラと藤花から、実害的な何かをされたというわけではない。

 ただ、二人が揃ってしまうと、余計に話が拗れていくのだ。

 それが特に嫌だった。


 夏央は逃げる態勢を整え、今のところ、闇サイトについて調べるのが先だと思い、立ち去ろうと試みる。

 刹那、両腕に違和感を覚えた。


「え?」


 背後を向くと、双方の手をキアラと藤花に掴まれているのだ。


「ちょっと、離してくれない?」

「それは無理だし」

「平民がどこかに行くのなら、私も行きますから。それで平民は今からどこへ?」


 キアラと藤花に見入られてしまった時点で、そこから離脱するのは難しいらしい。

 しょうがないと夏央はため息を吐き、どこへ向かうのか詳細に話すことにしたのだ。






「――サイトですか? それは興味深いですね」


 自称令嬢の藤花は頷いて見せた。

 多少なり関心は持っているようで、変態が集う闇サイトというものを、もっと知りたいと感じているようだ。


「私も興味があるんだけど、それ」


 キアラも話に食いついてくる。

 二人とも夏央の左右に立ち、共に廊下を歩いているのだ。

 ゆえに、廊下の端にいる他の人から、まじまじと見られていた。


 学校内でも色々な意味合いで注目される二人と一緒にいる。注目されないわけがない。

 夏央は縮こまった感じに廊下を歩く。


 ただ、パソコンのある教室まで向かうだけなのに、なぜ、ここまで羞恥心を抱かなければいけないのだろうか?


「そういや、変態が集まるサイトだけどさ」

「あッ、あッ、今はそういう風に言うなって」


 夏央はキアラの口元を抑えた。

 変態という言葉だけは口にしてほしくない。

 周りにいる人から変に誤解されたくないからだ。


「あ、ごめんな……でも、そのサイトならさ。私、どっかで見たことがあるような……聞いただけだったかな」


 キアラはふと、口にしている。


「知っているのか?」

「わかんないけど、それらしいものは、どこかで見たことがあるような気がして」


 意外にも知っているかもしれない。


「どこで見たの?」

「それは、思い出せそうな、思い出せないような……」

「ハッキリとわからないのかよ……」


 夏央はガクッとした。

 そうこうしている間にも、パソコン室前にたどり着く。

 扉を開け、夏央は二人と共に入る。


「それにしてもいつみても狭い部屋ですね」

「そういうなって」


 夏央は藤花に言った。

 昼休みの時間帯。一応、パソコン室には他の人もいるのだ。

 余計な発言をされても困る。


「じゃあ、このパソコンでも使うか」


 入口近くにあった、ノートパソコンを立ち上げる。

 学校のパソコン室には、ノートパソコンが多い。

 据え置き型もあるらしいが、お金の問題により、職員室にしかないのだ。


「ねえ、私が調べてもいい? 記憶を辿りながらやってみるから」


 パソコン前の椅子に座るキアラは積極的だ。


「ふーん、あなたに使いこなせるんですか?」

「んッ、使えるし。そもそも、藤花の方が使いこなせないじゃん。この前だって、下手に弄って、学校のパソコンを壊してたし」

「そ、それは、パソコンがよくなかっただけですから。高貴なる私の手には馴染まなかっただけよ」


 藤花は何が何でも、パソコンの方が悪いと一点張りである。


 それよりも、何かしらの真相に迫れればいいと思い、パソコンを操作するキアラの背後に立ち、夏央は様子を見守るのだった。


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