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時計屋

作者: レインマン

休日である土曜日と日曜日の午前11時から12時までの1時間、ここ浅上山市を散歩する習慣があったから、私はその時計屋を見つけた時、強い違和感を覚えた。

いつもの散歩コースの中程にあるスーパーを、ちょうど右に曲がったところにあるこの店は、果たして本当に時計屋だっただろうか?

元々別の店があった気がするのだが、思い出そうとしても、時計屋のイメージが邪魔をしてそれを阻止するから、強い違和感ばかりが残った。


気になって中を覗いてみれば、壁のあちこちに種々雑多な時計が掛かっている。例えばそれは無駄のないデジタル時計であったり、長針と短針とが地道に時を刻むアナログ時計であったりした。

商品棚を見遣れば、見るに飽きなそうな、カラフルな砂時計や、幾何学模様を施した腕時計があった。

しかし、私はその美しい時計の数々の全てに何か違和感を覚え、もっと近くで見るために店の中に入ろうとした時、店の奥で所在無さそうに煙草をぷかぷかしている店主と目が合った。


私はその直後、逃げるようにその場を去った。

違和感の正体がわかったからだ。

店にある全ての時計が、通常とは反対に、時を巻き戻すかのように動いていたのだ。

アナログ時計と腕時計は長針を反時計回りに回転させ、デジタル時計はその数字を巻き戻し、砂時計の砂は重力を無視するかのように下から上へと吸い上げられていた。





次の日の日曜日、私は恐る恐るスーパーを右に曲がったが、そこにはいつものように駄菓子屋が寂しそうに佇んでいるだけだった。

私が訝しげに、駄菓子屋の中を覗き込んでいると、店の奥にいた女店長が私を見つけ、なんだか悲しそうに微笑んだ。

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