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プロローグ~棋譜並べ~


 ――私達2人が全てを観ている、もう決まってるのよ。この世界の結末は……。



 神々が住む世界、楽園エデン。

 別名、風の通り道。全ての時間の起点地。心に寄り添う一番近い場所。裏表のない永遠に平和な安息の新世界。


 そのお城には2人の女神の姉妹が存在した、2人はボードゲームで遊んでいる。盤上の駒にしか見えないソレはこの世界の命そのもの。彼女2人が遊んでいたゲームを一旦やめて、休憩に入る。……いや、千日手になり引き分けに終わった。

 姉の天上院姫は悪役令嬢そのものと言った指し手で。ゲーム中、妹を翻弄していった。しかし、妹の天上院咲はたゆまぬ努力により初心者から確固たる実力者へとのし上がっていった。そこで姉は提案する。

「ふむ、ここまでついて来れたなら。そろそろ本気を出しても良いじゃろう、ならばこれをするのはどうじゃ?【棋譜並べ】」

「元々手加減なんてするタマじゃないでしょ? で、その棋譜は何? ずいぶん古い……ていうかひと昔前ぐらいのやつ?」

 「棋譜並べ」とは、プロ棋士などの強い人が実際に指した棋譜、対局者が行った手を順番に記入した記録。を見て、それを再現すること。

 その棋譜にはよく知る姉『天上院姫』とよく知らない人物『浮遊超気』という対戦相手の名前が書かれていた。

「今からわらわはこの棋譜を元に打つ、私の手腕だ。多少話が前後しようが、結末は同じ場所に行きつくだろう。だが【結末がわかってるのはつまらない】、そこでお前にはこの棋譜を面白くする手伝いをしてもらいたい」

「んん? 何をすればいいの?」

「今からお前をこの世界に投入する、何もしなければ物語はこの棋譜通りにハッピーエンドで終わるだろう。だが【まだ足りない】、その何かを埋める手伝いをして欲しいのじゃ」

「この世界に私はまだ居ないのよね? ……前提条件を教えてちょうだい。せめてリアルタイム制なのか、ターン制なのか」

「よかろう」

 言って、姉である姫は前提ルールを説明する。


 天上院姫は確認を取る。

「不足は?」

「質問、この盤上は過去改変なの?」

「いや、時計のようにぐるっと回るだけだから過去改変ではない。なんて言えば良いのかな~『歴史は繰り返す』みたいな文言がぴったりくるかもな」

(なるほど、時代は常に『今』だけど。今ならどう動くか? ってことか……)

 そうなると、文明の利器が。どれぐらいの技量なのかが気になるところである。

「質問、携帯はある? あるならそれはガラケー? スマホ?」

 この違いだけでも大きな意味を持つ。今はタダの形の違う通信機器でしかないが、情報習得量が段違いだ。例えばの話、だ。付き合ってる彼氏に携帯電話が無かったから、家に電話して親に見つかってお付き合いが破局……なんて運命の分岐点となり得るのだ。それだけ、携帯機器がこの世界のアドバンテージなのは棋譜をサラッと読んだだけでも天上院咲には熟知出来た。

「ん~『今風』が良いからなあ~スマホか5Gってやつがいいかもな、ちょい近未来感が出したい」

 この時点で前提条件が大きく違う。『この棋譜』が作られたのはポケベルとかプレイステ〇ション2の頃の時代だ、電話とメールは出来ても。インターネットは高値の花……。そんな時代の頃の棋譜……。加えて棋譜による完成はしているが、粗が目立つ。細かい所を突いていけば霧が無いが。穴が多い。故に、全く同じ駒並びは現在の姫でも不可能なのだ。

「じゃあ……ざっくりな時代背景はプレイステ〇ション4からプレイステ〇ション6の間の時代設定で良いわね?」

「ああ、それくらいの難易度じゃなきゃ面白くない。他に不足は?」

「質問、その棋譜を持っている、または知っている状態でプレイして良いの? この場合、予知書を持っている状態でその駒達と会話すれば。タイムパラドックス的な何かになるんじゃない?」

「この話は再構成リビルドだ、一度分解して再構成し直す。よって予知書を持っている状態でプレイしても何ら問題ない。新しい棋譜が出来上がるだけだ」

 つまり、その場にあった。キャラクターの実力や武器、情報などは一緒だが。天上院咲と予知書が介入している状態でニューゲームを押す。ような感じなのだろう。

「と、したい所じゃが。やっぱり様式美として、未来の出来事をそのまま伝えるのは無しにしよう……」

 

 天上院姫が一息ついてから、……始める。

「じゃあ、行くぞ。まずは気ままにこの世界を歩いてみるといいさ。では、エレメンタルワールドの世界にレッツゴーなのじゃー!」

 そうして、天上院咲の視界は淡白く暗転した。

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