訪問者たち
ヴァンパイア、それは
地上界の人間たちの歴史において
常に恐れられてきた闇の支配者
しかし、目の前のヴァンパイア.ロードは
元は人間であるヴァンパイアと違い
神人の直系子孫と言える存在だった
隔離界においてすら、魔人に次いで強いと
言われており、優れた戦闘能力と
膨大な魔力を有し、かつ、種族としての
特性から、人間が抵抗できるような
存在ではなかった。
そもそも、ヴァンパイアは
元を辿れば、彼らの眷属なのだ。
しかし、ヴァンパイア.ロードの第一人者たる
ハイマンは、驚愕していた
「なんと、強固なる肛門であることか!
吾輩はヴァンパイア.ロードの
最初の世代の最初の一人として生まれ、
魔界たる隔離界にて繰り広げられる
果てなき闘争の中に
牙を剥き出しに飛び込んでいった
しかし、今この瞬間、
吾輩の固い棒の先にくっつけた座薬を
拒否する人間の王の肛門ほど
吾輩を苦戦させた存在はなかった」
ハイマンのオールバックにした明るい色の
髪は乱れ、その前髪が顔の前にかかっている。
ロングブーツをはいた長い脚を蟹股に
開き、力を入れている
対するヌルーン王国の国王、
グランヘルム3世は机の上に
上半身を突っ伏されながらも
まさに、王としての意地をその肛門に込めていた
クローディス大公が言った
「我が王の肛門を見よ!
かつてこれほど栄誉ある肛門が
あっただろうか?
まさに悪しきものの侵入を拒み続ける
偉大なる王の肛門は未来永劫、
語り継がれるだろう」
マリアンヌが即座に小声で言った
「むしろ、私たちが墓場まで持っていく秘密に
しておいたほうがよろしいのでは?」
座薬と肛門とのせめぎあいは
膠着状態が続いていた
しかし、ふいにハイマンは
両腕をブンブンと振り回すと
王の尻を、両手で勢いよくぶっ叩いた。
ビッターーンと威勢のいい音が暗い室内に
鳴り響いた
ウォーヘッドたちとクローディス大公に
戦慄が走る
不意を突かれたグランヘルム王の
外肛門括約筋が一瞬、緩んだ
ハイマンは、きつく結んだ口の両端を下げ、
眉間にしわを寄せたような渋い表情だ
しかし、その赤い瞳が妖しく輝いた
「我が座薬が勝利を得たり!」
ついに、固い棒の先にくっついた座薬が
王の肛門に侵入を果たす
クローディス大公が悲痛な叫びをあげた
「終わりだ!これで、人間の王国は
隔離界の者たちの意のままになるだろう
我々の抵抗もむなしかった...
メシアよ、許したまえ」
座薬に注入されたヴァンパイア.ロードの
人心操作魔法は、王の体内で効力を発揮し、
ハイエルフの魔法防護をも破って
もはや、グランヘルム王は
ハイマンの意のままに動く人形と化すだろう
しかし次の瞬間、唐突に5人の人影が出現した。
まさに、空間をこじ開けて、
この王の間に出現したのだ
グランヘルム王の肛門から、ニュポンっと
座薬が飛び出す
全員が、5人のほうを向いた
背が高く、眼鏡をかけたハイエルフの女性、
美しいプラチナブロンドの長髪と空色の瞳、
流れるような衣装には、世界樹をあしらった
緑色のブローチとともに、世界を駆け巡る
神の熱い吐息を表す意匠のプレートが
付けられている
その隣には、ハイマンと同じく
濃紺のトゲトゲしい悪趣味なマントを羽織った
黒っぽい銀髪のヴァンパイア.ロードの女性。
腕を組みながら、わずかに宙に浮かび、
その赤い瞳をハイマンに向けている
そして、背後にはハイエルフの
二人のジャーナリスト
4人から少し離れて、一番最後尾には
フードを深々と被った小柄な女性が右腕を掲げて
立っていた。
フードの隙間から、赤い髪が見える。
美しい模様が刺繍されたローブを纏っており、
その身長は人間の子供ほどだ
しかし、掲げられた右腕は異形だった
剥き出しの筋肉組織に、それを覆う
管のようなもの。それは、所々が不気味に
脈打っている
ウォーヘッドたちと、ハイマンは、
すぐに見抜いた。
その右腕から発せられるあまりにも巨大な
パワーを...
眼鏡をかけたハイエルフの女性が、流暢な
ルーンの共通語で告げる
「私たちは、あなたたちの言う隔離界から
来ました。
これから、こちらのハイマン氏を
強制わいせつ罪の現行犯で逮捕します」
さらに、ヴァンパイア.ロードの女性が
言った
「あなたたちは、これから強制的に
ワープさせるわよ、
隔離界の者たちが迷惑をかけたわね。
でも、この部屋に戻ってくる頃には
すべてが終わっているからね」
一番奥の、小柄なフードの女性が何かを
言ったが、人間たちには理解できなかった
そして、ズボンを剥がされ下半身フルチンの
グランヘルム3世、
クローディス大公、ウォーヘッドたちは
否応なく、王城の大広間に転送させられた
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吹き抜けの天井の高い大広間から垂れ下がる
垂れ幕に、下半身フルチンのジェネラルが
しがみついていた。
クラウディア姫の指揮のもと、衛兵たちが
長槍でジェネラルの尻をつついている
姫に対して、近衛騎士団たちが必死に
なにやら説得しようとしていた
しかし、クラウディア姫は両手を腰に
当てて怒り心頭だった
「あの変態ジジイの尻の穴に私が自ら
剣を突き刺してやります。
いかに、お父様がジェネラルの
指揮に従うようにと仰せられようと、
そうしないと、私の気が収まりません!
ウォーヘッドなので死ぬことはないでしょう」
ジェネラルは、垂れ幕につかまりながら
苦悩に満ちたような表情で耐えている
周りを取り囲む貴族たちが、ジェネラルに対して
野次を飛ばしていた
その空気に後押しされるように
クラウディア姫が言った
「いくら、功労者であるジェネラルであろうと
下半身フルチンで私の客人たちの前に
現れるなぞ許されません」
そして、ふいにクラウディア姫の横に、
下半身フルチンのグランヘルム王が出現した
さらに、クローディス大公とウォーヘッドたちも
現れる
大広間はさらにパニックになった
「あんたもかーい」
クラウディア姫の悲痛な叫びだった