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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
84/114

レイデン侵攻作戦

プラウダール体制の盟主であるヌルーン王国の

西に隣接するニュルーン王国


西海沿岸諸国と国境を接するこの

ニュルーン王国の最西端の港に、

軍隊が集結していた。


ヌルーン王国と、その東に隣接するネルーン王国

と、このニュルーン王国は、それぞれ自分たちを

ルーン帝国の末裔と自称していた


その為に、ややこしい名前で、つい、筆者も

ストゥーカがヴィーランド北部を横切る

ロングライドをした出発国を、

本当は東のネルーン王国なのに

ニュルーン王国だと間違って書いてしまって

訂正したのだが、それはさておき、


西海沿岸諸国の富を虎視眈々と狙っていた

ニュルーン王国にとって、

レイデン侵攻作戦というのはいわば

長年の悲願であり、それをたやすく実行できる

機会が転がり込んできたというわけだった


千名を超える上陸軍が、数十隻にも及ぶ

ノル船に乗りこんでいた


ヌルーン王国とネルーン王国から派遣されてきた

”聖者”と呼ばれる謎の戦士集団と、使徒8体が

主力であり、自分たちはあくまで占領軍、

つまり刈り取り部隊、お気楽なものだった。


そのために、指揮官たちもニュルーン王国の貴族

であり、実戦ではなく、占領と統治を目的とした

人選だった


狂信的なメシア教の司祭が、兵士たちを前に力説

している



「奴らは異端者だ!正しきメシアへの信仰を持つ

 我々の前に、異端者どもは

 成すすべもなくひれ伏すであろう!

 その罪悪に満ちた富を正しき我らが

 受け継ぎ、浄化することが

 メシアの思し召しである」



その光景を眺めるのは、ヒラヒラした服装の

太った貴族たち



「ようやく、我々もプラウダール体制の甘い蜜を

 吸うことができるようになりましたな。

 いずれ、我々が就くことになる、

 西海沿岸と、新大陸の総督の地位に

 乾杯いたしましょう」

 


もはや、最新型の帆船であるバナナボートを持つ

西海沿岸諸国の海軍に、

ニュルーン王国の旧来のノル船やガレー船は

手も足も出ない。

そのような事実を認識している貴族は一人もおらず、

また、敵の海軍と戦うつもりも全くなかった



「あの聖者とやらと使徒たちが

 全てを片付けてくれるでしょう、

 我々はピクニックに行くようなものです。

 最も、海は大嫌いですが我慢しましょうぞ」



オホホホホと笑う貴族たち



しかし、彼らの姿は、

使徒たちの映像通信によって

ヌルーン王国の司令部に筒抜けだった



「馬鹿な奴らよ、自分たちが甘い汁が吸えると

 思っておるのか?

 所詮、貴様らはレイデンを一時的に

 占領するための道具にすぎん、

 西海沿岸は、我々が管理する」



使徒ダニエルが投影する映像を見ながら、

官僚の一人がつぶやいたのだった。


ニュルーン王国の最西端の港は、

ルーン内海諸国の中で、唯一、

ルーン海峡を越え、西海に面している



バナナボートならば、2日もあればそこから

ロール都市国家連合の最大の都市、

レイデンにたどり着けるのだが、

ニュルーン王国のノル船とガレー船の

船団では、その倍はかかるだろう


しかし、ついにプラウダール体制軍は

港を出発したのだった



「8体の使徒のうち、4体が、船団を囲んで

 ミストの魔法を発生させております。

 西海沿岸諸国の船からその姿を隠すためです。

 さらに、2体が船団の背後から風魔法を

 発生させておりますが、それでも

 鈍足なノル船にとっては多少、速度がマシに

 なるくらいでしょう。

 こうして、6体の使徒が船団に随行しており

 残りの2体は、レイデンの偵察任務に

 就いております。

 当然、ウォーヘッドたちに気が付かれぬよう、

 かなり離れた位置からの望遠偵察になります。

 使徒ラファエルが高高度から、

 使徒ポールが西海の沖からレイデンを随時、

 偵察中です」



使徒ダニエルの映像が、2体の使徒からの映像に

切り替わった


ぼんやりと見えるレイデンの風景は、それぞれ

海の彼方から見たものと、

はるか上空から見たものだ。


何ら変わらぬ風景に見える。


整然と並んだ背の高い建物の群れと、港を

埋め尽くす船たち


しかし、軍人たちは驚いた



「やや、御覧ください!レイデンの背後の森を

 ドラゴンらしき飛行生物の群れが襲撃している

 ように見えます!

 森が火に包まれているみたいです」



彼らはゴクリと息をのんだ



「使徒ラファエルの上空からの映像を分析します。

 さらに、使徒ポールを、レイデンの

 背後の森が見えやすい位置に移動させましょう」



どうやら、レイデンをドラゴンたちが

襲撃しているらしい。

北のヴィーランドからやってきた

ドラゴンたちだろうか?


焼かれる森からは、レイデンの防衛軍の

反撃らしきものが見受けられる

時たま、強力な魔法攻撃がドラゴンたちを

襲っている。



「レイデンの防衛軍と、おそらくは

 ウォーヘッドたちの反撃で、ドラゴンたちも

 数匹が撃墜されております。

 なぜ、レイデンがこのような攻撃に

 晒されているのか分かりませんが、

 これは我々にとっては好機です!

 こうして、敵がレイデンの背後の

 森に釘付けになり、

 さらに消耗してくれるのなら何より。

 しかも、我々、プラウダール体制軍が

 危機に瀕したレイデンを救うという

 大義名分も加えられます。

 やはり、我々には、メシアのご加護が

 あるのでしょう」



どう見ても、ウォーヘッドたちと

都市レイデンが、天罰を

受けているようにしか見えなかった


夜になって、謎のドラゴン軍団は、

レイデンのさらに北の山岳地帯に

引き返していったが、

レイデンの防衛軍は、都市の背後に陣取って

警戒しているみたいだ。


港を埋め尽くす船たちも、どこかへ逃げ去って

しまった。



軍人たちはほくそ笑んだ



船たちが逃げ去ってしまい、港はがら空き、

しかも、敵は背後の森に陣どって警戒している。

これでは、海からの襲撃に対して

丸裸ではないか!



....しかし、丸裸なのは自分たちだったのだ










 

 






 


 

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