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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
66/114

使徒2

使徒サリカの両腕から生えたライトサーベルが

勇者マックスの首の手間でピタリと止まった


額に一筋の汗を流し、マックスが言った


「倒せたのか?」


マックスの勇者の剣は、

サリカの身体を貫いている


赤いライトサーベルが弱々しく消滅し、

甲冑がひび割れ、

緑色の神秘的な光が所々から漏れ出した


しかし、サリカの背中が割れて、そこから

まるでコアファイターのように

羽を持つ小型の飛行物体が飛び出した


まさにコアであるマナ結晶を包み込んだその

飛行物体は、まっすぐに

上空に飛び立っていった



マックスがつぶやいた



「まるで、緑色の流れ星だ」



ディックソンが苦々しく言った



「マナ結晶が逃げちまいやがった!

 あれが残っている限り、

 奴は何度でも復活するだろう」



マナ結晶が飛び立ってしまった跡には、

バラバラになって地面に崩れ落ちた甲冑だけが

虚しく残されていた



リックが言った



「さすがに一筋縄ではいかないみたいだな

 俺たちは使徒に敵対してしまった。

 魔王軍を相手にするよりハードな戦いに

 なりそうだな」



エリーが微笑んで言った



「使徒に敵対したということは、私たちは

 人類と魔族にも敵対したという

 ことになります。

 使徒は人々の支持を受ける、

 れっきとした体制側。

 そして、今の私たちは単なる

 反体制ゲリラみたいなものです。


 おそらく私の行為は、使徒たちに記録されて

 おり、メシア教会は私を破門するでしょう

 

 でも、勇者マックス、聖騎士リック、

 ハイエルフのディックソン

 あなた方は、かつての仲間である私の命を

 助けるために仕方なく使徒と敵対したのです。


 私と違って情状酌量の余地は大いにあります、

 あなた方は今すぐにでも悔い改めて

 後戻りできると思いますよ」



リックが言った



「エリー、君はメシア教会から

 破門されるようなことをしたのか?

 そういえば、マックスを

 救済するとか言って出て行ったけど、

 その目的は果たせたみたいだな。


 今の話だと、君が使徒に命を狙われて

 マックスがそれを助けるために

 使徒と戦っていたみたいだけど、

 マックスがこうして元に戻って

 君が使徒に命を狙われることになった

 そのいきさつを話してくれないか?」



ディックソンも言った



「俺たちは、君らが気になってこうして

 拷問途中に抜け出してやってきて、

 結局、ノリと勢いで使徒との戦いに

 助太刀したんだ。

 そういえば、マックス、君の頭部から

 激しく出血しているぞ」



マックスが答えた



「俺は、君たちと同様に、エリーの拷問を

 受けたのさ。

 どうやら俺を救うために拷問が必要だと

 判断したらしい


 でも、エリーは、途中から

 謎のノリと勢いに飲まれて

 俺を本気で殺そうとしたんだ」



白と黒を基調にした立派な僧衣に身を包んだ

メシア教の僧侶エリーは俯いた。

ダークブラウンのロングヘアに隠れて

その表情は見えない


上半身裸で、両乳首に洗濯バサミを挟んだ

聖騎士リック


上半身裸で、ズボンをずらしたむき出しの尻に

お仕置き棒を突き刺した、

ハイエルフのディックソン


金色の伸び放題の髪と髭が顔を覆い、

頭頂から激しく出血している

灰色ローブの勇者マックス



4人は、しばらく話していた



しかし、上空に二体の使徒が出現した


黒色の甲冑の使徒ゴトウと

赤色の甲冑の使徒ヴィンセントだった


ゴトウとヴィンセントは、4人を挟むように

位置している

 

マックスが言った



「今度は二体か、くそ、飽和攻撃は

 通用しなさそうだな」



エリーが言った



「マックス、彼らに降伏してください!

 リックとディックソンも!

 私はおとなしく、王国とメシア教会の処分を

 受けますので」



しかし、4人の前に、聖女セリスと

戦士ティルクが到着した



マックスが言った



「ティルク、俺と一緒に上空に飛び立って

 背中合わせになってくれ!

 

 2体の使徒を引き付けるぞ。


 セリスとエリーは攻撃魔法の

 準備をしておいてくれ、

 リックは、パワーチャージして

 突撃の準備を。

 ディックソンは地上の3人の護衛を」



瞬時にウォーヘッド6人は行動を起こした


マックスとティルクはスポーンと上空に

飛び立った


セリスとエリーは最強の攻撃呪文を

唱え始める

リックは、パワーチャージした


2体の使徒は、光り輝くエネルギー弾

を地上に向けて放ち、そしてそれぞれの

両腕に赤いライトサーベルを生み出した


使徒ゴトウは、勇者マックスに向けて、

使徒ヴィンセントは戦士ティルクに向けて

突撃した



マックスとティルクは空中で背中合わせに

なっている



ディックソンは両腕を大きく広げると

それぞれ片手で、2発のエネルギー弾を

受け止めた


ディックソンの背後に、エリーとセリスと

リックが固まっている


片手で受け止めた2発のエネルギー弾を

胸の辺りで一つにまとめると、

ディックソンは身体を丸めて

地面を蹴って、その場を離れた


大きな爆発が起きた


爆風が、エリーのロングヘアと、セリスの

ショートヘアをなびかせる


しかし、彼女たちの視線はまっすぐに

上空に向いていた


4本の赤いライトサーベルが、

背中合わせになった

マックスとティルクを襲う



マックスが叫んだ



「リック、今だ!俺たちに向けて

 ホーリーチャージをかませ!

 思いっきりぶっ飛ばせ」



リックは躊躇することなく、聖騎士の

ホーリーチャージを発動した


ウォーヘッドの中で最速の突撃と言われる

リックのホーリーチャージは

マックスとティルクに直撃し、二人は

空中に鮮血を飛び散らせながら

吹っ飛んで行った


青い聖なる光が、二人を跳ね飛ばしながら

一直線に天に向けて伸びていった


眩いその光が晴れ、地上のエリーとセリスは見た



...相対する使徒ゴトウと使徒ヴィンセントが

お互いを斬り合うのを...



こうして、お互いのライトサーベルを身体に

突き刺したまま、2体の使徒は空中で静止した



それぞれの崩壊した鎧の隙間から

緑色の神秘的な光が漏れ出す


2機のコアファイターが出現した瞬間、


エリーとセリスの最強の攻撃魔法が放たれた。


上空に巨大なエネルギーの奔流ができる。

聖なる炎と聖なる雷撃が混ざり合っていた


しかし、それを突き抜けて、

2つの緑色の流れ星はまっすぐに

上空に逃げていった



ドサリッと、マックスとティルクが

地上に墜落する


鎧の破片がバラバラと降り注いだ



セリスが言った



「あの緑色の本体っぽいやつ、

 逃げてしまったわね。

 それにしても、マックス、ティルク、

 大丈夫?

 リックのホーリーチャージを

 モロに受けちゃって」



ヨロヨロと立ち上がってマックスが言った



「ああ、セリス、見ただろう?

 使徒の弱点だ...

奴らは通信手段は優れたものを

 持っているが

 それを生かすことができない、

 俺たちのように、瞬時に

 連携することができない。


 お互いを信頼して、味方の攻撃を

 受けるなんて奴らにとって想定外だろう...

 複数の標的を同時に捉えて、先を読んだ

 行動を取ることもできない。


 つまり、戦闘経験は

 俺たちのほうがはるかに上だ。

奴らは攻撃力は高く、速度も速いが

 あらかじめ決められた、

 定形通りの動作しかできないのさ」



もはやマックスの全身は血まみれだ。

灰色のローブはボロボロになっていて、

その下の青と白の勇者の服が見えている


グレートソードに寄りかかるように

ヨロヨロと立ち上がってティルクが言った



「マックス、戻ってきたみたいだな...

さらに使徒という新しい敵も引き連れて。


 まあ、いずれこうなることは予感してた。

 俺は、どうもあいつらが気に食わなかった」



さらに、地面に落ちた鎧の破片を拾って言った



「これは、西海沿岸の俺の故郷に近い、

 ドワーフ王国で生産されるタイタン鋼だ。

 こいつで、あんな精巧な鎧を

 作れるほどの技術はドワーフたちにすらない

 だろう。

 材料はこっちの世界のものだが、やはり

 作ったのはあっちの世界の連中なのか?」



少し焼け焦げたディックソンがやってきて

言った



「ああ、物質造形魔法を組み込んだ

 マナ結晶だ...この魔法が使える

 種族は..」



リックが走って戻ってきた


上半身裸で、ズボンをずらした尻に

お仕置き棒を突っ込んだディックソンと、

上半身裸で、両乳首に洗濯バサミを

挟んだリックを見て

セリスが言った



「ねえ、なんで二人ともこんな格好を...」





 

 

 


 


 

 

 

 





 



 

 

 

 

 

 

 

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