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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
65/114

使徒

先に仕掛けたのは勇者マックスだった



「言ったとおりだ、俺はあんたが

 気に食わない...

 ただ、それだけの理由で

 俺はあんたを倒すことにした。


 理不尽に思うかもしれないが、

 なぜか暴走して、俺を本気で

 殺そうとしたエリーのほうが、

 俺を救ってくれようとした

 あんたよりも大切なんだよ」


 

赤茶けた砂だらけの大地を力強く蹴って

マックスは、使徒サリカに突撃した


サリカは、無言で、両腕から生えた

赤いライトサーベルを

クロスして待ち構える


まるで、新しい身体の器官のように、

さらに自分の意思すらももつかのように

勇者の剣はマックスの手の中で

自由自在に動き、サリカに向かって

斬撃を放った


しかし、勇者の剣は、いとも簡単に

一本のライトサーベルに受け止められた


そして、勇者の剣は、ライトサーベルに

よって真っ二つに切断されてしまった


エリーが叫んだ



「エネルギー波すら断ち切る勇者の剣が

 切断されたなんて!」



もう一本のライトサーベルが

振り下ろされようとした瞬間、

マックスは剣を投げ捨て、両手で攻撃魔法を

放った


サリカの生み出したシールドが攻撃魔法を

受け止める


マックスは反動で、サリカから離れた


なんとか、地面に着地したマックスの目前に

まるで、瞬間移動したかのように

サリカが出現した


マックスは再び、その手に勇者の剣を

生み出すと、再びサリカに向かって

打ち込んだ

そして再び、ライトサーベルによって

勇者の剣は二つに切られた



マックスは吹いてしまった



「洒落にならない強さだなおい。

 これは、魔王ハーグも超えてるだろ!

 てか、歴代魔王もこの強さには

 及ばないんじゃないか?

 まあ、こんなのが12体もいるんじゃあ

 地上界の誰も歯向かうことができないわな」



僧侶エリーが、サリカに向けて攻撃魔法を

放とうとしている


次々と繰り出されるライトサーベルの斬撃を

なんとかかわすマックス


サリカはエリーのほうを見向きもしなかった


甲冑のどこからか、光り輝く矢のような

ものが出現する


矢は、まっすぐにエリーめがけて飛んでいった


マックスが、エリーに迫った矢に勇者の剣を

投げようとしたその瞬間、

エリーの目の前に、ニョキッと腕が伸びて

光の矢を掴んだ。



...上半身裸で、ズボンをずらした尻に

お仕置き棒を突っ込んだままの

ハイエルフのディックソンだった


矢を掴んだディックソンの手が

ジリジリと焼けている



「マックス、俺の見込みでは、奴の甲冑は

 特別なものではない、

 おそらく地上界で得られる

 金属から出来ている。

 だから、なんとか奴に一撃を食らわせれば

 ダメージを与えられるはずだ」



ふいに、サリカとマックスの上空から

聖騎士リックがロングソードを構えて

降ってきた


リックは上半身裸で、両乳首に

洗濯バサミを挟んだままだった


ディックソンが、掴んだ矢を、なんとか

サリカに向けて投げ返す


同時に、エリーの放った攻撃魔法が後を追う


リックのロングソードとマックスの勇者の剣を

2本のライトサーベルが受け止める


しかし、光り輝く矢と聖なる雷撃が

サリカを直撃したのだった


ディックソンが言った



「飽和攻撃に弱いみたいだな!

 本物の神の戦士は、何体だろうと

 すべての敵を補足して、瞬時に

 分析することができるみたいだが、

 おそらく、この劣化コピーは、

 動力だけは桁違いだが、他のスペックは

 そこまでではないらしい」



リックは、切断されたロングソードを投げ捨て、

マックスは、新しく勇者の剣を生み出した


そして、ついにサリカの胴体を

勇者の剣が切り裂いたのだった



サリカはヨロヨロと後ずさった



甲冑の胸の部分に小さな穴が開き、

胴体も斜めに少し裂けている


そして、そこから緑色の神秘的な輝きが

漏れていた


ディックソンが言った



「マナ結晶の輝きだ、奴の動力源さ。


 吸い込まれそうな美しい輝きだぜ、

 タジマコヘイさんの瞳の色を

 思い出してしまう。


 あの人がこのようなことを望んだだろうか?

 俺の妻も望んだことではないだろう。

 でも、大都市の有能な行政府は

 密かにこいつを開発していたのだ!

 

 物質造形魔法とゴーレム作成魔法を

 組み合わせたのだろうな、

 マナ研究所の自律思考研究も

 噛んでいるのだろう」



エリーが言った



「性犯罪者、何を言っているのか

 私たちにはさっぱりです!

 もっとわかりやすく解説してください」



マックスは、サリカに向かって勇者の剣で

突きを放った


サリカは赤いライトサーベルを勢いよく

クロスして、勇者の剣を切断する


そのアーモンド型の両目が赤く激しく輝いた。

クロスしたライトサーベルを再び戻して

勇者マックスの身体を両断しようとした



しかし、マックスの手に持つ折れた刃が

一瞬で再生した


強い意思の力で、マックスは瞬時に

勇者の剣を再び生み出したのだった



ついに、勇者の剣は、使徒サリカの身体を

貫いたのだった



ディックソンが言った



「あっちの世界で、多くの種族に

 恵みを与えているマナ結晶を、

 密かに兵器に活用したのさ。


 ほとんどの者が望んでいないことだ

 

 でも、それは行われ、こうして地上界へと

 持ち込まれた

 

 大都市では、兵器としての完成品を

 作成するのも、

 それをこの地上界に持ち込むのも、

 法で禁止されている

 

 でも、この地上界で魔法として発動し、

 現地の材料で組みあがったのならば

 それはグレーゾーンだ

 

 マナ結晶はそれを実現させる


 議会で可決された法案に、行政府の連中が

 あえて抜け穴を作っておいたのだろう

 

 表向きは、タジマコヘイさんや俺の妻の

 理想主義に追従しておいて、いざという時は

 すぐに兵器を出動できるように

 したかったのだろう

 有能な連中の得意技、ダブルトークさ」



エリーが言った



「要するに、あの、緑色の輝きがそれを

 してるってことね」



ディックソンが言った



「ああ、とんでもない出来損ないだがな」



渋い顔で解説するディックソンは、

上半身裸で、ズボンをずらした尻に

お仕置き棒を突き刺していたのだった

 

 

 

 

 

 



 


 

 

 

 




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