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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
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ドラゴン

「いいな諸君、英雄になろうとするな!

 一人の英雄の誕生で、一人の

 ウォーヘッドが死ぬことになる。

 仲間とともに生きて帰ることが第一なのだ

 諸君全員が欠けてはならない重要な

 存在なのだ!

 君の隣の者が君の故郷ホームを守る

 かもしれないのだ、忘れるな」



ジェネラルの念話が訓練生たちの頭の中に

鳴り響いた



「それじゃあ、私たちはアタッカーとして

 突撃するわね、援護をよろしく頼むわよ」



「俺たちを間違って撃つんじゃねえぞ、頼むぜ」



ストゥーカとカールソンと他数名が

城壁から飛び降りた。

十数メートルもの落下から何事もなく着地し、

アタッカーたちはみるみる内に

視界から消え去っていった


マックスが言った



「彼らより先に、まずは俺が

 ドラゴンの相手をするんだけどな!

 お嬢様、元村人の俺に対して

 気が進まないかもしれないが、

 移転魔法を頼むぜ、俺の分身を

 テレポーテーションしてくれ」



マリアンヌが言った



「お嬢様はやめてくださる?

 気が進まないのはそのとおりですけど

 仕方ありませんわ、ほら、魔法をかけて

 差し上げますわよ」



セリスが言った



「あんちゃん...いえ、マックスには喜んで魔法を

 かけてあげてね、私は聖眼で戦いの状況を

 皆に共有させてあげるわ」



マックスとセリスとマリアンヌの元に、

ふいに人影が出現した。


すでにウォーヘッドとして戦闘に参加している

先輩の一人だった


固めて整えた髪に、手入れされた口髭、

謎のキザさを備えたテレポーターの親父だった。



「私はチームエクスレイのパイソンだ、

 今、ちょうど手が空いているので

 君らひよっこたちのサポートをしてあげよう

 感謝しなさい」



パイソンは、テレポーテーションの魔法を

マックスに向けて放った


マリアンヌが言った



「あ、ありがとうございます、これで私は

 遠距離攻撃に回れます」



パイソンは、いきなり

キレのいいダンスを踊りはじめた


マリアンヌとセリスは言葉を失って

テレポーターの親父を眺めた


例えるなら、Frankie Goes To Hollywoodの

RelaxのPVのフレディマーキュリーもどきの

髭男のように、

軟式グローブのパークマンサーのように、

一人でキレのいい踊りをみせるパイソン



セリスは恐る恐る尋ねた



「あ、あの、魔法は

 かけ続けなくていいのですか?」



「この程度の距離なら、私の魔法は後、

 数十分は保つ

 私は手持ち無沙汰だからこうしているだけだ、

 気にしないでくれたまえ」



踊りながら、ウインクを返すパイソン、

現役のウォーヘッドの凄さを目の当たりにする

訓練生たちだった。


セリスはつぶやいた



「これが、あの噂に聞くチームエクスレイ

 ...なんかすごい」



その噂のチームエクスレイの全貌を知るのは

まだ後のことになるのだった。



踊るパイソンの側では、マックスがまるで

地面から生まれたかのごとく這い出して

日の光を求めるかの動きをしていた。


セリスは気を取り直して、

聖眼レーダーを発動させたのだった。


城壁の淵に立ち、マックスは前に向けて

走り出すような動作をしていた。

しかし、ムーンウォークを超えるウォーク

によってその身体は、動作に反して

その場にとどまったままなのだ。


すぐ隣でひたすらキレのいいダンスを

披露するパイソン、


さらにその隣で、白目を剥いて両腕を

ブンブンと振り回しているセリス、


彼らの背後では、兵士たちが黙々と

巨大な弩の周囲で警戒態勢に入っていた。



「だめだわ、私の力では、まだ、全員に

 イメージを送ることはできない、

 投影魔法で代用するしかない...」



セリスは、白目を剥いたまま、悔しそうな

表情で言った。

ふいに、皆の目の前の空中に、大きな映像が

投影された。


城壁の背後の建物の屋上から歓声が沸き起こった



///////////////////////////////////////////////////



マックスの分身は、森の中で目覚めた。

訓練生の戦闘用制服も、腰に下げた剣も

まったくもってそのままの姿だ。


そして一心に走った。



「いたぞ、レッドドラゴン、魔王の影響で

 攻撃性を増強されて、

 憤怒の感情に支配されているのか!

 しかし、そのまま単身でこちらに攻撃を

 仕掛けるなんて、まあ、しょせんは

 レッサードラゴンってところか」



概ね、全長10m以下の小型の若いドラゴンを、

おしなべてレッサードラゴンと呼んでいる。


10数メートルから20mクラスにまで

成長するとドラゴンと呼ばれ、

力も知性も増していく。

さらに20~30mクラスになると

グレイトドラゴンと呼ばれて、

絶望的に危険な存在となる


しかし、レッサードラゴンとは言え、

竜騎士が操る飛行竜と比べ、体の厚みや力に優れ

危険な存在であることには違いない。



「レッサードラゴンに勝てなくて、俺たちは

 故郷ホームを守ることなんてできるか!」



マックスは、地面を蹴って跳躍した。


ウォーヘッドの跳躍は木々を越え、さらに上空の

レッドドラゴンに迫ったのだった。





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