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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
52/114

再会3

マックスの胸中は喜びで一杯だった。


どうやら、世界樹の森で別れた仲間たちは

全員が無事でいてくれたらしい


こうして、再びチームアルファが集結した今

自分は無敵のように感じた


ティルクが言った



「俺たちが乗っているフーセンドラゴンは

 今の状態では、一撃離脱しかできない、

 高速だが舵があまり効かないんでね。

 だから、セリスとマリアンヌはそのまま

 ありったけの火炎魔法を奴らに放て!

 俺とマックスはいつもどおりやる、

 その内、後続の航空チームAと航空チームB、

 そしてチームブラボーが来るはずだ、

 じゃあ、行くぜ皆」



そして、フーセンドラゴンの背中から

スポーンと飛んだ


マックスも昆虫の背中から、スポーンと飛んだ

そして、一匹のギガントピープの元に

一直線に飛んでいく


光り輝く勇者の剣がトンボの羽を切り裂いた

そのまま、墜落していくトンボを踏み台にして

さらに飛び立つ


ティルクも、自分を捕食しようとした

トンボの口内にグレートソードを突き立てた


マックスを乗せていたケーブマンティスが

ティルクを受け止めた。


2匹のトンボが地上に落下していく中、

フーセンドラゴンが、トンボの大群の中に

突っ込んでいく



セリスは火炎魔法を放ちながら言った



「マックスが持っている剣、

 伝説の勇者の剣で間違いないわね!

 あの動きを見てよ、

 まるで、自らの意思を持つかのようだわ

 

 多分、私たちのせいでマックスは絶望の

 どん底に落ちたに違いないわ

 そして、そこから這い上がっていく過程で

 積み重なった苦悩があの剣を生み出したのよ

 

 勇者なら立ち向かわなければならない試練、

 その試練を乗り越えたのよ!」



マリアンヌも同意する



「ええ、私たちと違って、マックスは

 今の今まで自分のせいで仲間たちが倒れたと

 思っていた。

 自分を責めたでしょうね、苦しんだでしょう...

 

 ...それでも彼は折れなかった

 

 だからこそ、

 決して折れない剣を手にいれたのですわ」



恐るべき飛行能力によって、トンボたちは

瞬時に上下左右に移動して

フーセンドラゴンを避けた


それでも、セリスとマリアンヌの放った

火炎魔法によって

数匹のトンボの羽が溶けて、

地上に落下していった。


しかし、口を大きく開けながら空気を

取り入れていたフーセンドラゴンのその口に、

一匹のギガントピープが衝突した



フーセンライダーが言った



「しまった!空気取り入れ口が

 塞がってしまった、

 飛行不能になったぞ、地上に墜落する

 メーデー、メーデー、地上に墜落する」



フーセンドラゴンは口に巨大トンボを

ひっつけたまま地上に墜落していった


ケツの開口から黒い煙が吹き出す。

 

セリスが念話で皆に言った



「大丈夫、私たちは魔法で着陸するわ、

 マックス、ティルク、健闘を祈る」



さらに、マックスに向かってキオミが

叫んだ



「マックス、ケーブマンティスたちの飛行も

 そろそろ限界よ、残念ながら、私たちも

 着陸しないといけないわ、

 もう十分にやったわ

 戦線を離脱しましょう」



マックスの目に、地上に墜落した

フーセンドラゴンと、ティルクを乗せた昆虫と

キオミとマークを乗せた昆虫が戦線を離脱

するのが見える


目の前の一匹のトンボの羽を切り裂いて

マックスは言った



「ああ、仕方ない、奴らの1割は

 倒しただろうが、それでもこの数だ。

 後続のウォーヘッドたちにも警告しよう、

 残念ながら、

 気球の町は被害を受けるだろうな」



マックスはそのまま地上に着地した。


荒い砂の地面にクレーターができる


そして、地上に張り付くような姿の

フーセンドラゴンの巨体に向けて走る


2匹のケーブマンティスたちも

フーセンドラゴンの近くに着地する。


上空の巨大トンボたちは、速やかに

気球の町へと向かうことにしたみたいだ。

しかし、一匹のギガントピープが

急降下してきて、抱え込んだ爆弾を

こちらに向けて投下していった。



マックスが苦々しげに言った



「く、俺たちに別れ際のプレゼントを

 くれたみたいだな」



上空からこちらに向かって落ちてくる爆弾



ふいに、フーセンドラゴンが

長い首を伸ばして爆弾を飲み込んだ


尻の開口から炎が勢いよく吹き出し、

砂埃が舞った



フーセンドラゴンが鼻で笑った



「ふん、体内に破滅の炎を宿す我に

 こんな甘っちょろい炎を食わすでない。

 それにしてもよくやったぞ君たち!

 ちなみに我は地上では這いつくばるような

 動きしかできぬ

 しばらくはこの場所を移動することは

 叶うまい。

 おそらくは地上軍の刈り取り部隊が

 来るだろうから、気球の町を占拠されない

 ように気をつけるがよい」



マックスが言った



「ああ、フーセンドラゴンよ、

 君の健闘に感謝する。

 君とマークの働きが大きい。

 後続のウォーヘッドの航空隊が

 頑張ってくれれば、敵も

 損害の多さに撤退するかもしれない

 

 俺たちは、チームブラボーの騎士たちを

 待って地上戦の準備をしよう」



ふと、こちらに魔族の戦士の集団が

向かってきた


ティルクがグレートソードを構えて言った



「地上に墜落したトンボに乗っていた連中だな

 空だけでなく、地上でも戦う気満々か

 いいだろう、相手してやるか」



マックスは何も言わずに、勇者の剣を構えて

魔族の戦士のほうへダッシュした


なぜか途中で無意味に地面を蹴って飛び上がり、

空中を回転するその姿を見て、

ティルクがつぶやいた



「その行動に、一体、何の意味があるんだ?」




////////////////////////////////////////////////




レッドドラゴンの背中に乗ったストゥーカは、

遠く前方に気球の町を見ながら

セリスの念話をキャッチしていた


そしてふいに歓喜した


バンバンとボケコラの背中を叩いてセリスが言った



「ボケコラ、最高、最高だわ、マックスが

 合流した!

 チームアルファにマックスが戻ってきたのよ、

 あの時の、飴のハイエルフも一緒みたい

 

 どうやらマックスは、伝説の勇者の剣を

 携えているみたいよ

 彼も、一人でイーストエアまで飛ばされて

 苦しかったでしょうけど、それを乗り越えて

 さらに強くなって戻ってきたのね」



ボケコラは、低い唸り声を上げて答えた



「ああ、我にも念話は聞こえておるぞ、

 やはりマックスが居なくてはな!

 しかし、喜びは後で取っておこう、

 敵は巨大なトンボのモンスターが

 数十匹も居るということではないか

 対する我ら航空隊は、あまりにも

 少数、苦戦は必至だ」



ワイバーンに乗った、航空チームAの

隊長が言った



「こちらも善戦を試みるが、無理はするな!

 多くの敵に囲まれることが無いように

 フォーメーションを崩すな!

 レッドドラゴンの炎と、

 竜騎士のジャベリンが武器だ、

 航空チームBとチームチャーリーが

 到着するまで、

 敵の編隊の周囲から少しずつ削っていく

 わかったな」



やがて、レッドドラゴンを先頭に、扇形で

追従するワイバーン3匹からなる航空チームAは、

気球の町と、大渓谷の上空を飛び越えたのだった




 

 



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