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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
46/114

オープニング2 (挿絵付き)

航空チームAは、このダルクエンで編成された

臨時急造の竜騎士チームである。


チームブラボーのレッドドラゴン、ボケコラと、

赤毛の女竜騎士ストゥーカ、そして、他3名の

ワイバーン乗りから成る


ボケコラは、ワイバーンたちがついてこれない

スピードで時々、編隊を乱し、ストゥーカから

怒られていた



「ふん、我は体内に破滅の炎を宿す

 本物のドラゴンなのだぞ、

 ワイバーンどもの速度に合わせるなぞ

 苦痛でしかないわ」



幾多の激戦で急速に成長したレッドドラゴンは、

もはや体長は14メートルを超えるほどだろう


レッサードラゴンであるワイバーンと比べて

一際目立つ巨体と、郡を抜いた加速力、そして

派手な赤色の体だった。



ストゥーカがたしなめた



「レッドドラゴンの悪いところが出てるわよ

 ボケコラ、私たちはチームなのよ

 ちゃんと周りと合わせないと

 有効な作戦行動が取れないでしょ」



ボケコラは、返事をするかわりに高速で

飛行しながら、その体をクルクルと回転させた



「ちょっと、やめなさい!マジで切れるわよ」



ストゥーカは、足で、ボケコラの首の根元を

ガシガシと蹴った


ボケコラは、ズラリと並んだ牙をむき出しにして

威嚇しながら言った



「痛え、首の根元を蹴るのはやめい!

 く、最近、少し縮んで可愛らしくなったってのに

 その性格はだんだんとキツくなっておるぞ」



ストゥーカも、最近、自分が縮んだかの

ような錯覚を覚えていた



「私が縮んでいるんじゃくて、あなたが

 おっきくなったのよ」



はるか前方のレッドドラゴンを眺めながら、

航空チームAの隊長は舌打ちした


念話で、全員に聞こえるように言った



「なまじ知性があるから厄介だな、

 従順なワイバーンや飛行竜とは違って

 その制御には難ありだぜ!

 おい、お姫さん、ちゃんと暴れ馬を

 てなずけるんだぞ

 チームを乱すことがないようにな」



お姫さんと呼ばれ、ストゥーカは眉をしかめた

竜騎士たちの中で、自分は最年少だ。

しかし、唯一のドラゴンライダーだった



「わかっています、隊長どののケツを舐めさせる

 くらいに従順にしてみせますので

 見ていてください」



航空チームAの他のメンバーの笑い声が

念話で聞こえる


やがて航空チームAは、砂漠の上空で、

航空チームBと合流した。



ボケコラよりも巨大なフーセンドラゴンが

2匹、並んで空に浮いている


驚くことに、この不格好なフーセンドラゴンも

レッドドラゴンと同じく、体内に破滅の炎を宿す

本物のドラゴンなのだ


その姿は驚くべきものだった



風船の上に、平べったく首の長いトカゲが

手足を投げ出して乗っかかっている様を

イメージして欲しい


フーセンドラゴンは他のドラゴンと違って、

全身が弾力性のある滑らかな皮膚で覆われている


ゴムのような皮膚のその下半分は、彼らが

体内で生み出す特殊なガスによって膨らみ、

巨大な風船となって浮力を与えているのだ


その長い首をまっすぐに伸ばし、ジンベイザメの

ように口を大きく開けて、空気を吸い込んでいる。


吸い込まれた空気は、体内の破滅の炎によって

加熱され、熱膨張した空気が尻の穴の下にある

巨大な開口から勢いよく吹き出している。


その反動推進によって、フーセンドラゴンは

そこそこの速度を出して飛行できるのだ。


退化した小さな翼は、方向蛇としての役割を

果たしている。


そのあまりもの緊張感のないスタイル、そして

何よりも、尻のあたりの巨大な開口から

空気を吹き出しているという様は

お世辞にもカッコイイと言えるはずもない...



ボケコラがつぶやいた



「だからといって、このペイントはないよな...

 ベトナム戦争のヒューイヘリかよ」



...なんと、

少し潰れたような濃紺色の風船の正面に、巨大な

シャークマウスペイントが施されているのだ

 

大きく開いたピンク色の口内の淵に、

白いギザギザの歯がズラリと並んでいる


口の上に、三角形の目が2つ、正面を睨むように

描かれていた。


風船の上の、正面に突き出した

棒のようなものの先が本物の頭部なのだが、

これでは、まるで空飛ぶ寸胴のサメだった。



ストゥーカが言った



「言うことを聞かないと、ボケコラ、あなたの

 下半身にも、あのシャークマウスペイントを

 施すからね!」




ボケコラが言った



「まだ、隊長の尻を舐めるほうがマシだ!」





挿絵(By みてみん)





 





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