コンボイト.ジャーナル
夜の村の広場に、大勢の村人たちと
ウォーヘッドたちが
大きな焚き火を囲んで飲み会をしていた。
彼らの元に、ふいにチームエクスレイが
出現したのだった。
村人たちは驚いたが、
ウォーヘッドたちは歓声をあげた
横に広がり、肩で風を切るように
こちらに向かってくる4人のスターたち
吟遊詩人ジョルジュのリュートが
美しい音色を奏でる
踊り子マリアは、長くカールした黒髪を靡かせ
セクシーな歩行によって
男達の視線を釘付けにしている
俳優ハーディスは、白い歯をキラリと光らせ、
目が合った村長の奥さんは顔を赤らめた
テレポーターのパイソンは、
くるりと回転しながら
早くも軽快なステップを踏んでいた
大きな焚き火を背景に、
チームエクスレイの4人が横一列に並び、
しばらく、ポーズを取ったまま固まる
村人たちは固唾を飲んで、
彼らの前に集合していた
ふいに、ジョルジュと、彼の能力をコピーした
ハーディスがそれぞれの楽器を奏でた。
そして、マリアの、白い衣装をたなびかせた
神秘的な踊りが皆の目を釘付けにする
まるで、初夏の季節の生の躍動感を
体現したかのごとく
繊細ながらも力強い舞を舞うマリア
2つの楽器の重奏が、
その踊りをさらに盛り上げる
エルフのリリーベルと、魔法使いマリアンヌが
マリアの踊りに参加した
緑色の衣装に、長い金髪のリリーベルは
典型的なエルフそのものといった外見だ。
エルフの踊りは、人間たちを魅了し
それを無心に見ていた男が気がついたら
ジジイになっていたという民話さえあるほどだ
紫色の衣装に、肩までの長さの紫色の髪
のマリアンヌは、古代ルーン帝国から続く
貴族の家系、豊かな教養によって得られた
踊りのスキルは、マリアにさえ匹敵する。
奏でられる旋律のテーマを即時に理解し、
見事なステップを踏んで人々の目を楽しませた
そして、3人の女性から離れたところで、
いつものように、手持ち無沙汰のテレポーター
のパイソンが、情熱的な一人踊りを
していたのだった。
///////////////////////////////////////////////////
「こんにちは、コンボイト.ジャーナルの
キャサリン.キックがお伝えします。
私は今、ウォール街に来ております。
この大都市が誕生して、未だに
75年しかたっておりませんが
早速、巨大な疑惑の嵐が
このダーク.シティを覆い尽くしております
あっ、今、ウォール街のボスたちが
連行されてきました
早速、インタビューをしてみたいと思います」
三角形のイヤミな伊達めがねをかけ、
金色の前髪を数房だけ額に垂らし、
残りの髪を後ろで束ねて複雑に結んでいる。
悪名高きジャーナリストのキャサリンが
面白がるかのように、
警官に連行されていく人物に向かって突撃した
カメラが、わざとらしく
キャサリンのタイトスカートに包まれた
肉付きの良い尻を追っかける
こうして、さりげなく視聴者の目を
釘付けにしていくという姑息なテクニック
やがて、警官たちに囲まれて
連行されていく人物に向かって、
キャサリンはマイクを突き出した
「あなたは、オストスロウ商会の
スロウテルさんですね!
このウォール街で行われたと言われている
違法な取引について、様々な疑惑があなたに
かけられていますが、
それについて一言お願いします」
黒い衣装に、フードを深々と被ったその人物は、
カメラマンとキャサリンに向かって体当たりした
ちなみに、フードを突き破って、頭の両側に
形の良いなだらかな曲線を描く角が生えている
それはそうと、体当たりされたキャサリンは
わざとらしく大げさに、地面に転んだ。
プロ根性のカメラマンが、そんなキャサリンを
しっかりと捉える
タイトスカートから艶かしい太ももを顕にして
地面に転がったキャサリンは、
急いで上半身を上げた
そして、まくり上がったスカートの裾を
いそいそと直し、
その姿を捉えるカメラに向かって
非難の視線を込めた
「ちょっと、何撮ってんのよ!!それはそうと
見ましたか?皆さん、これは報道の自由に
対する立派な挑発行為ですよ、きっと、
何かやましいことがあるに違いありません」
ディックソンとアンソニーとオウルは、目の前に
展開された2D映像を食い入るように見ていた
地上界のハイエルフの長老であるオウルが言った
「コンボイトって、例の大都市に隣接する
ハイエルフの都市じゃろう?」
ディックソンが答えた
「ああ、タジマコヘイ.チルドレンと呼ばれる
大都市を含む近隣の連邦、
その中で、独特の地位を築いている
いけ好かないハイエルフの都市さ。
悪名高きコンボイト.ジャーナルのハエどもが
早速、動き出したな」
アンソニーが相槌を打った
「ええ、長老、その独特の地位によって
タジマコヘイ.チルドレンの
メディアを支配している
腐った都市ですよまったく!
秘密裏に行われているはずの、
ウォール街のガサ入れを
早速察知したってことは、
秘密のパイプを張り巡らせている
のでしょうね」
オウルが言った
「それにしても性格は悪そうだが、
外見だけはピカイチじゃのう
あの、キャサリン.キックとかいう
ジャーナリスト...」
ディックソンが吐き捨てるように言った
「あの伊達メガネ、俺の妻の真似をしているのが
バレバレだぜ、クソ、いまいましい」
さらに詰め寄ってくるしつこいカメラマンを、
ついに、スロウテルは突き飛ばした。
カメラを持ったまま、すっ転ぶカメラマンは、
キャサリンのタイトスカートと生足を
斜め下から舐めるように撮した
一斉に、前のめりに、のめり込むように
映像に注視する
ディックソンとアンソニーとオウルだった。




