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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
18/114

公正取引委員会

チームアルファの目の前の、5匹の昆虫に

向かって、レッドドラゴンが急降下していく


同時に、チームアルファの背後に唐突に

チームチャーリーの4人が出現した


まるで、駆けっこでスタート同時に

すっ転んだ風に、

横並びの4人は出現したと同時に

地面にもんどり打って転んだ。


さらに、チームアルファを

両側から挟み込むようにかなり遠くではあるが、

2組の敵パーティーも出現した


そして、チームアルファの目の前の昆虫たちの

背後に、それもかなり遠くではあるが、

茶色と緑色のマントに身を包んだ何者かが現れ、

一枚の薄い絨毯のようなものを広げた


広げられた絨毯は、地面に落ちてから

移転魔法陣となって光り輝き、

さらに数人が出現した。



きっかり一秒後、



チームブラボーの竜騎士ストゥーカを

背中に乗せたレッドドラゴン、

ボケコラの口から激しい炎が

吹き出し、5匹の昆虫に降り注いだ


仲良く地面に滑り込んでいた

チームチャーリーの4人は一斉に顔を上げた


魔法使いルーティーが言った



「ふう、やっとたどり着いたのであります!

 しかし、自分はテレポーテーションを

 使いすぎて、もはや役に立たんのであります!

 皆の衆、後はよろしく頼んだであります」



ドワーフのイルガが言った



「うわー、数日振りの人里だー、

 つかさー、女の子4人がずっと

 野宿とかありえないよねー

 でも、出現した矢先、

 ドラゴンの炎が目の前を埋め尽くす

 地獄絵図なんだけどね、

 まあ、いつものことだけどさ」



エルフのリリーベルが言った



「目の前にチームアルファと

 炎に包まれた敵の新型、

 上空にチームブラボーの竜騎士、

 B集団とC集団も押され気味、

 我々A集団に噛み付くつもりだ。

 ほら、あっちに、新たな敵が出現!

 皆、急いで戦闘準備をしよう」



僧侶のエリーが言った



救世主メシアよ、我らを救いたまえ、

 あなたの羊たちに害なす者どもに

 天の怒りを示したまえ

 不信心者たちに天罰を与えたまえ、

 ただし、友であるエルフとドワーフに

 関しては除外したまえ

 泣き言ばかりのルーティーには

 すこしばかり喝をいれたまえ」



彼らの両側に出現した敵は、

バーサーカーだった


トゲトゲの鎧に身を包み、

ギザギザの凶悪な剣を持っている。


それは、薬物によって極度の興奮状態にされた

魔族の戦士だった



勇者マックスが振り返らずに言った



「チームチャーリーは、両側に出現した敵を

 なんとか食い止めてくれ!

 ちくしょう、噛み付かれた!

 不利な状況だが、頼む」



両側にそれぞれ2体、

つまり4体のバーサーカーが

こちらに向かって走っていく。


結局、魔法使いルーティーとエルフの

リリーベルと

僧侶エリーとドワーフのイルガの

2組に分かれて対応したのだった。



/////////////////////////////////////////////



炎に巻かれる昆虫たちの背後に出現した数人は、

気がつかれることなく、戦闘を観戦していた


口をもぐもぐさせている小柄なほうが言った



「さて、公正取引委員会の役人さん、どう?

 この状況で執行するつもり?」



大柄なほうが答えた



「うん、あれは明らかに

 ケーブマンティスだね

 僕たちの世界の、荒地の洞窟に住む

 捕食者だよ。


 有害動物を食べてくれる益虫だし、

 頭も良いから農地や町の下水道の

 ガーディアンとして最近は人気でね、

 こうして密輸も横行している。

 まさかこちらの世界にも流れているとはね」



もうひとりの大柄なほうが言った



「移転が容易な、卵の状態で流通して、

 ここまで育てているのだろうな。

 まあ、捕獲はどうせ俺がやるんだろ?

 そのために派遣されたんだし、

 別に火の中だろうが構わないぜ

 悲しいことにすっかりと慣れてるんでね、

 んじゃあ行こうか?」



そう言いながら、

茶色と緑色のマントを翻しながら

炎のまっただ中にズンズンと入っていった。


その背中を見つめながら、

小柄なほうが大柄なほうに耳打ちした



「ねえ、なんで燃え盛る炎のまっただ中に

 平気で向かっていってんの?

 慣れてるとか言ったけどどういうこと?

 変質者だと聞いてたけど本格的すぎでしょ」



小声で大柄なほうが答えた



「火炎に雷撃に水責めに文字通り慣れてるんだよ

 あの人は

 

 ...理由はショッキングすぎるんで

 聞かないほうがいい。

 

僕たちの世界には、

いろいろと変な人が一杯居てね、

 君も気が向いたら遊びに来たまえ

 まあ、君は若いからこっちの世界に愛着があるの

 だろうけど、楽しいと思うよ」



////////////////////////////////////////////////



レッドドラゴンの吐いた炎は、

5匹の昆虫を瞬く間に包み込んだ。

マックスは、油断なく武器を構えて

目の前に出現した炎の壁を眺めていた


昆虫は、身を丸くして、

防御姿勢を取っているようだ



「火炎が弱点のようだな、

 だとしてもドラゴンの炎に

 ここまで耐えるなんて、なんて奴だ」



すかさず、魔法使いマリアンヌと聖女セリスが

火炎の魔法を発動させた


ボケコラが通り過ぎた後でも、その吐いた炎は

昆虫を包み込んでいたが、

さらに、二人の生み出した炎が追加された


炎の壁は、まるで

そびえ立つ城壁のようになっている


そして、顔を明々と照らしたマックスの目に

飛び込んできたのは、

その炎の中を揚々と歩んでいく

一体の人影だった。



「なにあれ?」



セリスとマリアンヌの表情に

恐怖の色が浮かんだ


その人影は、炎に包まれながら、

丸まった昆虫たちの

背後からこちらに向かってくる


理解できない言葉で悪態をついているようだ



しかし、その人影は、はっきりと大声で、

ルーンの人間たちの共通語で喋ったのだった



「ミナサン、ワタシは、コノ昆虫、ホシイ!

 ダカラ、ワタシ二マカセテクダサイ!」



明らかに言わされてる感丸出しの、

アクセントめちゃくちゃの

外国語訛りで、その人影は繰り返した



「ミナサン、ワタシは、コノ昆虫、ホシイ!

 ダカラ、ワタシ二マカセテクダサイ!」












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