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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
110/114

最終回~シャイニングスター~

男性陣たちは天体望遠鏡を覗きながら

泣いていた。



しかし、女性陣は微妙な表情だった



「え~」



魔法使いルーティーが天体望遠鏡を覗きながら

小さくつぶやいた


やがて、望遠鏡から離れたルーティーの肩を、

僧侶エリーがポンと叩いた。


ドワーフのイルガとエルフのリリーベルは

まるで、井戸端会議の主婦のような表情で

小声でコソコソ何やら話している


竜騎士ストゥーカは、泣きじゃくる

少年ボケコラを優しく抱きしめてあげているが

その視線は明後日の方向を向いている。

まるで演技している女が

彼氏が見えないところで見せる

素の表情のようだ


予測していたリアクションが取れずに

呆けたような表情になっている

魔法使いマリアンヌに促され、


聖女セリスが最後に望遠鏡を覗くことになった



「この輝きは、勇者マックスが

 私たちのために....」



しかし、場の微妙な空気に圧されて

セリスの声はどんどん小さくなってしまう



「地上の私たちが...受け取るメッセージとは」



独り言のように何やらつぶやきながら、

セリスの震える手は、

天体望遠鏡の調整つまみ類を触ってしまった


見えるのは、ゴツゴツとした岩の隆起


星は自ら柔らかな光を放っているものの、

それは目を痛めるものではなく、地表の

様子もくっきりと見える


月の白っぽい表面とは違って

欠片を集めて出来たばかりの星は、

いろいろな色彩の鉱物が

集合しているようだった


それにしても、

やけに、星の表面は起伏に富んだ地形だ


セリスは、ふと気が付いた



「いけない、近寄りすぎたみたいね

 もっとレンズを引かないと」



調節つまみを回すと、倍率が戻って

ぼんやりと星の全体像が見えてきた。

震える手で、

さらに、微調整してピントを合わせる...


ようやく、くっきりとした映像になった



セリスはつい、言ってしまった



「キモッ」




.....それは、ニカッと微笑む

勇者マックスの笑顔だった....



まさに星全体に

地形として刻まれたメッセージ


マックスは、星の地表を隆起させて、

ウォーヘッドたちに

メッセージを送っていたのだった


しかし、それは、例えるならば、

屈託のない笑顔を讃えたまま死亡した人物の

デスマスクを石膏で作成して

球体の片面全体にそのままくっつけたようだった



「ねえ、ずっとこの地形で

 やっていくつもりなのかな?」



心配そうな表情を浮かべながら

皆のほうを振り向くセリス


エリーが答えた



「もうすでに、人々はこの星を

 メシアの星と呼んでいます。

 さすがに、ここまでリアルな形状を

 取られてしまうと、

 メシア教のシンボルである星のマークの

 真ん中に、

 顔を貼り付けなくてはならないでしょう。

 それだけは辞めてほしいのですが」



ストゥーカが言った



「なんとか、マックスに伝える方法は

 あるのかしら?

 もう一回、ヒューストンを立ち上げて

 対策を練る必要があるかも...

 フーセン衆とスターチェイサーと

 ディックソンを再び招集するように、

 皆で、ジェネラルに懇願しようよ」



感涙にむせぶ男性陣をよそに、

女性陣は第二のリーチマックス計画のことを

真剣に話し合っていた



宿の2階の部屋の一室から、

ハイエルフのキオミは夜空を見上げていた


大賢者ルールリラが側に寄ってきて

エルフ語で話しかけてきた



「お主、勇者マックスに餞別として

 スカーフを渡したらしいの。

 我が予想するに、

 それは移転魔方陣じゃろう?

 いずれ、彼の元に向かうつもりかえ?」



キオミは答えた



「ええ、この地上界から

 40万キロも離れてるから

 移転に必要な魔力も桁違いに多くなる。

 でも、私はあきらめないわ!

 きっと、マックスがスカーフを広げて

 私をあの星に招いてくれる日が

 来ると信じてる」



ルールリラが言った



「我の予想では、あの星はいずれ

 自転を始めるじゃろう。

 そうすることによって遠心力が生じて、

 地下に空間を作ることによって

 疑似重力下での環境を作成できる。

 ノヴァのマナ結晶のエネルギーを

 あの星は持っておるからの、

 自転することや

 内部を光で満たすことはたやすいじゃろう。


 さらに、神々がこの地上界を造ったときに 

 生じた欠片でできているがゆえに、

 材料も不足はないゆえ、水と空気が自作 

 できると思うのじゃ。


 つまり、お主を招くことはいずれ

 可能になるじゃろう。

 

 そればかりではないぞ、あの星は

 自由に軌道を変えたり、

 あまつさえ、高速で飛翔することさえ

 出来るじゃろう

 

 もしかしたら、この地上球に

 かなり近づくことが

 あるかもしれぬということじゃ

 

 その場合、もっと少ない魔力で、

 移転魔方陣を

 発動させることが出来るじゃろう。

 まあ、スターチェイサーや、

 セルフトークあたりの

 グレートドラゴンにでも頼んで

 魔力を分けてもらうがええ」



キオミが目を輝かせて言った



「驚くべき星海への旅に、私は招かれるかも

 しれないってこと?

 

 うん、絶対にその日は来るわ、絶対にね!」



 

 

 


///////////////完///////////////

 

 

 

 

 

 




 

 

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