わらしべ長者さや先輩。2
「お忙しいところ失礼します。
先週は課の者にスーツお貸しくださってありがとうございました。磯崎さんはいらっしゃいますか?」
スーツを持たず、格好がつかないが礼をして声を掛ける。
「穂積ちゃん!大丈夫なの?
あの顔だけ野郎…氷漬けにしてやろうか…」
すぐさま営業事務の高頭さんがやって来る。
有能すぎて、前の会社の不正を暴いてしまいクビになってわが社に中途採用された女傑で、まぁ色々頼まれるがその分色々返して下さる素晴らしい人である。
情にも厚いが、その分過激派なお人である。
あー、この人に知られたのならそれは広まるだろうなぁ…
「ご心配おかけしてすいません、大丈夫ですよ。」
「もー、穂積ちゃんってば平気な顔で無理するんだから!!
これね、養命酒!!体質改善に効くわよ!ほら、そのお見舞い品もこの紙袋に入れて!」
わぁお、ほしいなぁと思いつつ普通のお酒をついつい買ってしまうのでものすごく嬉しい…!!!
「た、高頭さん…!
こんな素晴らしいものを…!!」
「えっ、さやちゃんかつて無いほどの喜びよう…
そんなに養命酒ほしかったの?」
「ずっと気になってて…でも同じ額出すならついつい日本酒買ってしまうんですよね。」
「あっ、穂積さん!!
体調大丈夫ですか?後スーツありがとうございます!」
話していると磯崎君がやって来る。
「いえいえ、こちらこそ。
大変助かりました。ありがとうございます。」
しっかりとお礼を言うと何故かミニブーケが差し出される。
「お見舞いがてらの花です。受け取ってください。」
「え、」
「穂積さんが受け取らないとゴミ箱行きです。」
「えっ、それは申し訳ないのでもらいますね。」
押しの強さにおののく。
ゴミ箱行きですって言われたらもらうしかない。
「穂積ちゃんってば無理しないでねぇ。
ほいよ、これ栄養ドリンクね。会社においておいてヤバイとき飲みなねぇ。
営業部御用達の栄養ドリンクだよぉ。」
奥から馬場課長がやって来て一パック渡される。遠慮する間もなく、他の人からもガンガンホッカイロやらお菓子やらをいただく事態になってしまった…
「課長、穂積さん荷物持ちがてら送ってってもいいですか~?」
「はいよぉ。もう打ち合わせも済んだし、昼休みも近いしそのまま昼休み入っちゃって良いよぉ。
穂積ちゃん、無理しすぎないようにねぇ。」
どうやって運ぼう…と思っていると水卜さんが手伝ってくれる事になった。遠慮しても押しきられるのが最近分かってきたので、素直に手を借りることにした。
馬場課長達に見送られ、私は帰路についたのだった。




