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マジか。

那珂くん視点です。







朝から日差しがきつく、ついついため息が出る。

月曜というのもあいまってやる気や元気がそげおちそうになる。

ふと前を見れば、ゾンビのような歩きで進む鈴木が居た。

いや、まぁ、気持ちはわかるけど女子としてどうなんだ?というかフラフラしてるってことは気分でも悪いのだろうか。

先週の穂積さんの事が頭を過り、声を掛ける。



「鈴木、おはよう。とろけてるぞ?」



「あ、那珂先輩おはようございます。え、顔面が?化粧剥げてます?」



振り返ると同時にしゃっきりと姿勢を正す鈴木。

調子は大丈夫そうだが…顔面とろけてるとかどんな発想だ。



「いや、顔面は、無事だけど朝から背中が疲れすぎだぞ?」



「こゆい休日だったんで…」



遠い目をする鈴木。そういやこいつ真城先生と意気投合してそのまま泊まってたな。



「真城先生のとこいって大丈夫だったか?」



「心配恐れ入ります。大丈夫でした。真城先生のお家すごかったですよ!那珂先輩も来れば…あ、いや来ない方が良かったですね、はい。」



「なんだそれ、どういうことだよ。」



嫌な予感しかしない。



「新たな扉開いちゃう系?」



「なんとなく察した。それ以上いうな。」



男同士の恋愛を温かく見守るとか言ってたからなこいつ。真城先生もそういうの好き系か。

とりあえず話題を変えよう。



「お前、二日酔いとか大丈夫だったか?俺は次の日頭が少し痛かったけど…」



ほんとはけっこうひどかったけど、少しと言ってしまう。

土曜日は午前中いっぱいだめだったな。



「あー、あの後完徹したんでけっこう平気じゃん?って思ったのが間違いでしたよ。朝ごはん食べた後真城先生のとこで寝て起きた後、かなりガンガンしました。

真城先生は大丈夫だったんですけど…」



「あー、強そうだもんな真城先生。

水卜さんと穂積さん大丈夫だったかな?」



と言いつつ二人が二日酔いで唸っている様子は想像つかないけどな。



「ミトサンは潰れないですよ。あの人ザルっていうか枠ですよ!!

営業先との飲み会でお酒強要したり飲み比べやたらめったらしたがる人居たんですけどミトサン相手して潰しましたからね。

それ以来、そういうことピタッとしなくなったそうですけど…」



予想以上の猛者だった。



「すごすぎる…」



「その後、遺恨なくお付き合いできちゃうのがミトサンマジックですよ。樋口部長には出来ない芸当ですよね。」



「飲み比べは出来ないだろうけど、無駄にギタギタに叩きのめしすぎていらない恨みをかいそうだよな。」



樋口部長は基本的に威圧的だからなぁ。弁が立つ分、相手を追い込むの上手だし。樋口部長が移動してきた頃を思い出しちょっとゾっとした。



「それな…

さや先輩は二日酔いとかならないたみたいなんですけど、眠くなる方みたいで酒瓶抱えながらうとうとしてましたよ、この前。可愛かったなぁ。」



「可愛い表現おかしいぞ、鈴木。

酒瓶抱えてうとうとするのを可愛いってなんだそれ。」



「ふ、分からなくてもいいんですよ?那珂先輩。むしろわからないままでいろ。」



「いきなり口悪いぞ。」



こいつ穂積さん絡むとほんと過激になるよなぁ…

まぁ、それだけ慕ってるって言えるんだろうけど。



「おっと失礼。

あ、そーいや、ミトサンにお礼かねてお昼ごちそうするか、美味しいお店紹介したいのですけど那珂先輩良いところ知ってます?私、たいてい良いお店はさや先輩経由なんですよね。

ちょっとしたランチ分くらいはおごられてるんですよね、我々。なんかお返ししたくて。」



確かにな。

本気で割り勘だったら一万は越えてたろうからな。タクシー代もほとんど払ってもらったし。



「店なー、俺もよく分からないんだわ。どっか出掛けるとたいてい松本のオススメか、水海道さんに聞いてだしな。

あ、水海道さんに聞くか?水卜さんとも仲良いみたいだし、好みも知ってるだろうし。」



ワイン飲む以外は特に拘り無いから、いつもお任せしてしまう。

水海道先輩なら良いとこ知ってるかもしれない。

後で聞いてみよう。

しかし暑い。

暑いな、ほんとうですよね、の特に意味の無い会話をしながら進んでいく。やっとビルに入り人心地がつく。

オフィスに一番近いエレベーターに向かうとそこには先客が居た。



「さや先輩!おはようございます~!!!」



鈴木がダッシュで穂積さんにむかっていく。犬か。お前は飼い主大好き犬か!!



「千佳ちゃんに那珂君、おはようございます。

二人とも二日酔い平気だった?」



抱き付く鈴木を受け止め柔らかく微笑んで挨拶を返し、我々への心配の言葉もつける。優しいなぁ。



「おはようございます。そこそこありました。」



「私もなんですよ~」



「あらあら、大変だったわね。」



そんな会話をしながら丁度良く来たエレベーターに乗り込んだ。

鈴木と横並びで入っていく穂積さんの後ろ姿を見てあることに気づく。



「あれ?穂積さん今日はバレッタつけてるんですね。お似合いですよ。」



可愛いですよ、と言いそうになったけど穂積さん可愛いって言われるとなんともいえない顔するときあるからな。あんまり言われたくないんだろう。

水卜さん、よくあんなしょっぱい顔や冷っとした態度とられても可愛いって言えるよなぁ。ある意味尊敬する。



「え、あ!!ほんとだぁ!さや先輩可愛い!似合ってますね!」



「そ…そうかしら?変じゃない?」



困惑顔で言う穂積さん。

この人は自分の容姿面への自信の無さが変に高すぎるように思える。他人の事なら小さなことにも気が付いて誉めたりできる人なのに。

そんなことを思いながら、オフィスにつくと会う人会う人にバレッタが似合ってると言われ、穂積さんはさらに困惑顔になってる。なんだか段々面白くなってきた。



「ねぇねぇ、那珂…」



袖をちょいちょい松本に引かれ振り返る。



「なんだ?」



「穂積さんのバレッタ…貰い物って聞こえたんだけどさ…」



そう言ってスマホの画面を見せられる。



「あ、これ穂積さんがつけてるやつじゃないか?Aのロゴがついてて…って一万近くするのか?」



「フランスのブランドなんだよ。ちなみにこれは大手通販サイトで割引になってる値段。

正式なサイトの正式な通販だと…」



「に゛っ…?!」



二万越えだと…?!ま、マジか。



「ちーちゃんが職場でつけても大丈夫そうでかつ分かる人には分かるようなセンスの良いものを送りたくて、検索しまくってこの前のボーナスでこの店の商品買ったから分かるよ。

あれ、ポーンと気安くあげられる物じゃないけど…多分穂積さんは分かってないよね…」



「分かってたら受け取らなさそうだものなぁ。」



一体、誰から送られたんだろうか。





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