服装チェックしましょうか。
丹波はわりかし早く戻ってきた。
走らずちゃんと行って帰ってきました!と、よく考えなくても当たり前な事を報告する丹波。それを誉めるさや先輩。
なんか…あれだ…調教師と犬って感じがする。
「さすが…猛獣遣い穂積さんだぜ…」
誰が言ったか分からないが、それな!って思う。
空気に徹しようとした高橋先輩に釘を刺し、あの樋口部長すらも黙らせる。さや先輩、ほんと素敵…!好き…!!!
「那珂、ワックス持ってたよね?貸して。」
「ああ、ほら。」
松本先輩に声を掛けられた那珂先輩がサッとディスクから携帯ワックスを手渡す。準備よいわー!!
「くっ、那珂先輩も机も鞄も綺麗男子かよ…さすか眼鏡なだけある…」
「眼鏡は関係ないだろう。」
「那珂は几帳面なんだよ、鈴木さん。」
「見習うといいぞ?鈴木。」
「かぁー!なんですかその眼鏡クイッからのその言い方!!
イケメンじゃなければはったおしましたよ!顔がよくて命拾いしましたね!!」
「穂積さーん、鈴木が謎理論で喧嘩吹っ掛けてきます。」
「那珂先輩!余計なこと言わないでくださいよ!!」
「あらあら、二人とも服装チェックちゃんとしないと駄目よ?」
私と那珂先輩がバチバチしつつふざけあっていると、さや先輩が笑顔で言った。しかし目が笑ってない。
「那珂先輩、ネクタイを緩めすぎですよ。」
「鈴木、髪がほつれてるぞ。」
慌てて互いをチェックし合いあう。しまった!ピン止め忘れてる!!
「さや先輩、ピン止めあります?!忘れちゃったんですよぉ。」
「私も無いけど編み込みすれば大丈夫。千佳ちゃん座って。」
「ありがとうございます!!」
すすす~と編み込みしてくれる。
ひえぇ、かわゆい!!!さや先輩器用!!
「なんでこんなにぱぱっとできるんですか?!」
「うーん、慣れ?」
「鈴木さん、可愛いですね。」
「えっ、ありがとうございます。松本先輩。」
照れちゃうなぁ、たとえお世辞でも…!松本先輩が言うからだろうけど。
これがミトサンや那珂先輩ならなにかあるんじゃないの?!って疑うけど。
「あれ、穂積さん。後髪が少し跳ねてますよ。」
さや先輩を後から見た松本先輩が言う。
「え?どこ?」
「さや先輩、ここですね。」
丁度真後ろかピョコンと跳ねている。そこを少しつまんで教えてあげた。
「あー、真城先生のとこで寝てしまってたからだわ…これはまとめるしかないわね…」
さや先輩の髪、とても綺麗なんだけどあとがつくとなかなか直らないって言ってたもんなぁ…
「千佳ちゃん、ゴム余計に持ってる?」
「それならあります!輪ゴムみたいな素材のたくさん入って安いやつですが。」
「十分よ、ありがとう千佳ちゃん。」
いいながらも器用に頭の上から編み込んでいくさや先輩。
少し編むたびにゴムを渡す。
数分後ー…シニヨン風な髪型のさや先輩に変身した。
だいたいいつもハーフアップかピンを使ってとめているかなのでえりあしが見えているのが新鮮だ。
なんか…なんか色っぽいですよ!!さや先輩!!!
なんかドキドキしちゃう!!!




