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自に優しく他に厳しいの報いの行方

「富久山君、指導されたなら守るべきだよ。君は新人なのだから。」



「それは…そうですけど、でも好きな格好するのがなんでそんなにいけないんですか?おかしいですよ!」



「それは俺じゃなく樋口部長…いや、もっと上かな。そういう所に言ってもらわないと。

おかしいおかしくないじゃないんだよ。服装指導もあったならそれを守るべきだよ。変えたいなら君がものすごい功績をあげて服装の自由を勝ち取るとかしないと。

自由には義務が伴うって知っているよね?」



キッパリと水海道先輩が言う。

普段、笑顔が常だから真顔で言われるとダメージくるだろうね。

泣きそうな顔でうつ向く富久山。



「水海道、そのあまりきつく言わずに…」



「じゃあ樋口部長が指導して、今すぐ最適な服装にさせてください。

きつく言わず…とおっしゃいますが…樋口部長がここに移動して来た後、那珂や松本に服装や意識のもち様を俺よりもかなり厳しくご指導していましたよね?

二人より、明らかに今の富久山君の状態はよろしくない。どうご指導する気か教えていただきたい。

鈴木はもちろん、我々も参考にさせてもらいますので。」



きついこと言うのが標準装備の樋口部長が口を挟むが、水海道先輩が見事な返しをする。素敵です!

眉間にシワを寄せながら、富久山に向き直ると言った。



「潤…、職場の規定があるんだ。

その格好は似合っているが…会社ではよろしくない。辛いだろうがこらえてくれ。潤は何を着てもよく似合う。

だからスーツ姿もよく似合うだろう。だから、な。」



な、じゃねぇよ!!樋口部長!!!

なにその言い方。いまだかつてそんな声掛したことないだろうがよ!

あっ、水海道先輩と那珂先輩、どちらもチベスナ顔になってる!!


見つめ合う二人。

少し間をおいて富久山が頷く。



「正親さんがそう言うなら…」



「潤、分かってくれて嬉しいよ。ありがとう。」



甘甘すぎて砂糖吐きそう。てか高橋先輩空気になってる。

まぁ、余計なこと言えないよな。けっこうラフな格好で出社してくる人だし。

モノトーンでまとめているのと美形な為顔ばっか見られがちなのであまり表面化しないけど。

富久山の服装への意識も問題だけど、高橋先輩を基準にしたり樋口部長が甘かったのでここまで酷くなってしまったんだろうなぁ…



「…マグカップで茶碗蒸し!絶対やってみるっす!!」



そこに力強く宣言して後ろを向きながらドアを開けた丹波が入ってくる。

笑顔で室内を振り返り我々を見てぎょっとした顔をする。



「え、何があったんです…!?

え、鈴木先輩泣いて…?!!!!」



爆笑を堪えすぎてこぼれた私の涙に更に動揺する丹波。

あ、拭くの忘れてた。めんごめんご。



「ひ、樋口部長!!

いくらなんでも女の人が泣いてしまうほど責めるなんて酷いです!!」



ぶふっ!!と私の背後で静かに那珂先輩が吹き出す。

真後ろだから気付いたよ!笑うなよ!!私もつられちゃうだろ!!



「え…」



いきなりの流れ弾に思わずたじろぐ樋口部長。



「普段から言い方がきついですけど…!

鈴木先輩が泣くほどなんてよっぽどですよ!!!」



「丹波、丹波。

鈴木さんが泣いたのは俺のせい。富久山君の服装指導の件で、ね。」



「え?」



水海道先輩がネタばらしをする。知らないとはいえ私のために上司にキッパリ意見を言える丹波はすごいなと感心と感謝の気持ちが湧く。

丹波はキョトンとして、そして富久山を見て素直な感想をのべた。



「富久山、その格好ヤバイよ。

え、なんでそんな格好で出社できたの?」



いいこと言うね、丹波。私もそう思う。

同じ同期の丹波に言われて、富久山も不味さを感じたらしい。不服そうな感情が消えていく。



「…午前中は倒れてご迷惑お掛け致しました。只今戻りました。

丹波君、誤解だったみたいなら樋口部長に謝らないと。」



さ、さや先輩!!!

お帰りなさいーーーー!!!!

顔色良くなってる…!!良かったよおおおぉぉ!!!!



「樋口部長、誤解して申し訳ありませんでした。」



すぐさま深く頭を下げる丹波。

うわ、こいつ絶対ミトサンの指導を受けてんな。

礼の角度とか諸々細かい所に以前私も受けた指導の名残を感じとれる。



「ああ、以後気を付けるように…」



覇気なく答える樋口部長。

まぁね、新人にまで言い方きつい、人を泣かせるような言い方もするって思い込まれてるってことだしね。普通の感覚もってたらへこむわな。



「千佳ちゃん?」



大丈夫?と目が言ってる。優しい気遣いの空気を感じる。

さや先輩、やっぱ女神…!!!!



「さや先輩…!!」



思わず走り寄って抱き付く。そして、耳元でこっそり囁く。



「富久山の服装酷くて小芝居中。」



「なるほど。」



さや先輩は私を抱き締めたまま樋口部長を見やる。

そうして口を開いた。






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