表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/176

ウェイウェイできない。

七月になり殺人的暑さと化粧崩れに悩まされながら仕事に励んでいたある日、俺様上司こと樋口部長が偉そうに言った。



「穂積に鈴木、来週末の土曜日どうせ暇だろう。

バーベキューを企画しているから参加しろ。」



「別に興味ないんで、結構です。」



「受け取りようによってはパワハラと捉えられる場合もあるので、その言い方はやめた方がいいですよ?

お断りします。」



私は無表情で、さや先輩はにっこりと、それぞれお断りしたのだった。









★★★★★






「鳩が豆鉄砲くらった顔ってあんな感じなんですかね~」



「目が点になってたわね~

まさか断られると思ってなかったみたいね。ぶふっ」



「さや先輩笑っちゃ失れ…ふははは!」



定時で終了後、すぐさま飛び出して訪れたバーでさや先輩と私は今日の出来事を思い出し大笑いした。

開店したばかりで、お店は誰もおらずまたもやマスターの前の席を陣取った。



「ふふ、自信満々なんですねぇ、その方。」



超美人な男性バーテンダー…綾城(あやぎ)さんも吹き出すが、なんというかお上品だ。

女子よりも女子度というか淑女度が高い。

指先まで美しいってこういう人の事を言うんだなぁ~とポャ~と見とれてしまうこともしばしばだ。


さや先輩はけっこう前から、私は去年さや先輩と同じ部署に配属されてからちょいちょいお店には来てたが、こうやってカウンターに座ってよく話すようになったのは今年度になってから…富久山とある意味愉快な仲間達の愚痴を爆発させた時からだ。

毎週とはいかなくても月に三回はこの頃来ていて、なおかつ人が居ないときにかち合うので色々話せるようにもなり、名前を教えあい呼ぶ仲となったのだ。


ちなみに…綾城さんには作家さんの男性の恋人が居る。

そのノロケや愚痴を時々聞いたりするのは、同級生の恋ばなを聞くより興奮…いやいや、キュンキュンする。

とばっちりやどろどろの泥沼の無い恋愛話は、男女だろうが男男だろうが女女だろうが聞くのが楽しい。



「俳優かっていう位、美男子なんですよ。

そして、俺様…。関係なく見てる分や、他の部署や役どころや二次元ならばいいんですけど、自分が関わらなきゃならないとけっこうきついんですよね…」



力なくさや先輩が言う。

笑いすぎて疲れたようだ。



「あれでしょう、女子にチヤホヤされるのが標準装備だから、自分が言えば喜んでついてくると思ってる系じゃないかしら?」



「綾城さん、エスパー?!

その通りなんですけど!!!」



「ぶふぁふぁっ!!」



綾城さんと私のやり取りを見て、再びさや先輩が爆笑の発作に襲われてしまった。

お酒が入るとさや先輩の笑いの沸点は更に低くなるようだ。



「行けば楽しいかもしれないわよ?

バーベキュー。ほら恋が芽生えたり…」



「「しないしないしない」」



綾城さんが言い切る前に秒で否定する私達。

部署の連中はみんな物凄くか普通よりちょっとかの差はあれども美形揃い。

ここはBLになりやすい世界ー…

男性カップルが生まれやすく、そのカップルのほとんどがどちらも美形か片方が美形なのだ。

つまりは部署の男性陣は妻帯者もいるけど、男性同士でくっつく要素が高く、そんな中でアタックしようものならあて馬ちゃんになるか恋のスパイス、もしくはザマァされるの三択しかない。

辛い。



「そんなこと言って…綾城さんはバーベキューしようって言われたら参加するんですか?」



私が口を尖らせ尋ねると、綾城さんは余裕たっぷりに言った。



「メンバーによるわね。」



「メンバー大事ですよ。分かっていただけました?」



「理解したわー。逃げ切れるといいわねぇ?ふふふ…」



「わっ、なんでそんなフラグじみたこと言うんですか!

取り消してください!!」



「それが彼女たちと話した最後の会話だったー…」



「えっ、ミステリー?ホラー?刑事もの?!なにか始まる予感しかない!!」



「あははは!!」



綾城さんとふざけあっていたが、ふとさや先輩が黙っている事に気付いた。



「さや先輩、どうかしました?」



「千佳ちゃん、私…最後にバーベキューなんてしたの短大の時以来なの。」



「私も大学の時以来ですよ?」



「千佳ちゃん、私との年齢差がピカピカの小学一年生と中学生位違うのよ?

もうだいぶやり方とか人との関わり方とか忘れてて、恐怖しかないわ。」



なんにもいえねぇ…



と、私は思うことぐらいしかできないのだった。



「ウェイウェイ言ってはしゃげる気がしない…」



「さやちゃん、バーベキューするのはウェイウェイの人ばっかりじゃないわよ?多分…

え?自信なくなってきたわ。ねぇ、千佳ちゃんそうよね?」



…大学時代に彼氏に幼なじみ(※男性)が好きだから別れようって言われる前はウェイ系といえばそうだったかも…

ふと思い出しかけたが、私はその思い出にそっと蓋をして何事もなかったように笑った。



「そうですね!

でもウェイしか居ないときもありますから、ちょっとした賭けですね!」



「なにそれ?不安しかないのだけれど。」



「バーベキュー怖いわ…」












そんな会話を楽しくした翌日、私とさや先輩は綾城さん予言のフラグを回収することになろうとは…

この時…ひとつも気付いていなかったのだった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ