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気付け!

「水卜さん、感じ悪いですね…外出るなとかひどいですよね!」



プリプリ怒って言う富久山。いや、お前の仕事に関する意識がひどいよ!!



「那珂、アイス入れてきて。」



水海道先輩が富久山with樋口部長&高橋先輩に背を向け、私と那珂先輩の方に向き直り袋を差し出した。

そうして眉を八の字にし片目を瞑り、片手を謝罪するようにふると…



「鈴木さん!駄目じゃないか!!!!」



いきなり声を荒げた。



「はい、申し訳ありません…」



しおらしく頭を下げる。

だってそうしないと声を荒げて出した後の水海道先輩が、おどけたひょっとこ顔をするから噴き出さないようにそうするしかなかった。

那珂先輩は空気になって、アイスをしまいに離脱する。



「申し訳ありませんじゃないよ!!

駄目じゃないか!富久山君は新人さんなんだから君がよく見てあげないと!!

丹波だって俺や那珂に言われて服装はTPOをわきまえたものを着用してるんだよ。

鈴木さん、ミトやんの下で働いたことあるんだろう!

服装規定独自に設定して徹底してた所に居たのに新人にまともな服装も指導できないのか!!!

君が指導できないとなって問題が起きれば、責任を被るのは穂積さんだけではなくて大神課長や樋口部長…更に上になるんだよ!!

そこのところ自覚してくれないと!!」



「私の不徳の致すところで…申し訳…ありません…でした…っ…!!」



口調とは裏腹に変顔とモノマネ顔を水海道先輩が言葉の合間に挟むので、私はちょっと吹き出した。

吹き出す前に口元をおおい、半身を捻りながらうつむいたので端からは泣いて見えるだろう。

ダメだ、笑いが込み上げて肩が震える。ヤバイ!!



「待ってください!

鈴木はちゃんと指導をしていました!けれど…」



那珂先輩が震える私の肩に手を乗せ…いや、バレないよう結構な力で押さえ込みながら参戦してくる。

くっ、我慢しすぎて涙がにじむ。



「けれど?けれどなんだ、那珂!

ただ黙るなら誰でもできるんだよ!沈黙は肯定とみなされる…何が言いたいかはっきり言え!!」



そう言ってから、ペコちゃん顔をする水海道先輩。

那珂先輩と私は盛大に吹き出しそうになり唇を噛み締め下を向く…!

お気付きだろうか、これは小芝居である。

ぼやかしながら樋口部長や高橋先輩にお前らふざけんなよ?!

って思いを伝えている。

歪曲的表現である。



「…鈴木が…

ちゃんと指導しても、そんなにきつく言う必要ないと他から意見がでて…相手は先輩や上司で鈴木も強く言えなかったんです…!

だから鈴木ばかり責めないでやってください!!」



「そうなのか…?鈴木…」



「それは…ありますが…けど…私が圧力に負けなければこんなことには…!

ごめんなさい…!!」



もう変顔みせるのは許して…!!!

腹筋が崩壊直前!!!あっ、我慢しすぎて涙が…



「ま、待ってください!

あ、あの!鈴木さんちゃんと教えてくれましたけど…!

この服、似合うって一晟さんや正親さんが言ってくれてプレゼントしてくれたから嬉しくて着てきたんです!

二人とも似合ってるって笑って言ってくれたから、駄目なんだなんて思いもよらなかったんです!」



かかったな…!

内心ほくそ笑む。見えない位置の水海道先輩はとっても悪い顔をしていた。





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