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エリートは行方不明。

仕事をしていると那珂先輩からラインが来た。

丁度よく仕事が一区切りついたので、給湯室に飲み物を取りに行くついでにチェックする。



『穂積さんや鈴木にワインへのこだわりはあるのか?無いなら選ばせてもらっていいか?』



というどうでもいい内容だった。

オッケーですのスタンプで済ませ、さや先輩と自分用にホットのカフェオレを作る。

なんか富久山が暑いと言ったので、樋口部長が温度を下げて強風にしやがったので暑がりの私ですらけっこう寒い。

冷え性のさや先輩にとっては地獄だろう。



「さや先輩、どうぞ…って、大丈夫ですか?!いや、大丈夫じゃない!!

樋口部長!!!来てください!!!!」



さや先輩の顔色、青い通り越して真っ白だよ!!!



「千佳ちゃん、大丈夫…」



私の大声を止めようと立ち上がったさや先輩だったがそのままぐらりと立ち眩みを起こす。



「さや先輩っ!!」



受け止める事に成功はするが、支えきれず尻餅をついた。

というか、冷た…!!

体が冷えすぎてる!!!何でこんなになるまで我慢しちゃうんですか…



「なんだ、鈴木…っ!?ほ、穂積どうした?!」



嫌そうにこちらに来た樋口部長だが、ぐったりとしたさや先輩とそれを支えきれずに尻餅をついた私を見て慌ててやって来る。



「早く冷房止めてください!!!

一体何度に設定したんですか!さや先輩の所、ものすごく冷えるんですよ!だから何度か席変更をお願いしてたのに!」



「そ、それは…」



理由は知ってるぞ!!

富久山を自分の側に置いときたいからだろ!!!



「今止めたから。穂積さん意識ある?」



気まずそうな顔で固まる樋口部長は役立たずだった。

棒立ちするだけなら丹波でもできるんだよ!助け起こせよ!!


そこにイクメンな水海道先輩がやって来る。

ごめんね~と声をかけてから私ごとさや先輩を起こすのを手伝ってくれる。ありがてぇ。そして頼りになる…!



「大丈夫…です…

すいません、ぼんやりしてしまって…手がかじかんで不味いなと思ったら立ち眩みを起こしただけです…

ちょっと外出ていいですか…気持ち悪くて…」



さや先輩、全然大丈夫じゃない!!お願いだから休んで!!

水海道先輩は首を振り、樋口部長を静かに見据えた。



「休養室行きなよ。穂積さん。

鈴木さん、悪いけど付き合ってあげて。

…樋口部長、20℃で強風は無いですよ。みんなを冷房症にする気ですか?

樋口部長の席は直風来ないから分からないんでしょうが…私のような体型でも寒いくらいですから、女性でまして穂積さんは冷え性なの分かってるはずですよね。上着に膝掛けにネックウォーマーまでしてるの見えてますよね?

こっちはなんとかできるから、二人とも行って。」



背を押され、オフィスの外に出る。

休養室でとりあえずさや先輩をベッドになんとか行かせ、私が常駐医に説明する。



「ちょっと様子を見てから戻すようにしますね。

上司に後程適正なエアコンの使い方をお話ししますと伝えてくださいね。」



女医さん、事情を聞いて一瞬般若になったがすぐにこやかになって言った。

切り替え早いな。さすがだな。

毛布にくるまり、足湯につかって少し顔色が良くなってきたさや先輩を残し、私はオフィスに向かったのだった。

しっかし、樋口部長…エリート様なのに最近ほんとろくなことしないな…









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