先輩にはかなわない。
お料理教室のメニューはハンバーグとシーザーサラダ、具だくさんのトマトスープだった。
デザートは丹波が買ってきたマンゴーと松本先輩と千里子さんが差し入れとして持ってきたハーゲ◯ダッツを綺麗に盛りつけたもので、お酒はミトサンの叔母様が飲んでもいいよーと許可をくれた高いらしいワインを開けた。
つまみに那珂先輩の買ってきたチーズセレクション、私とミトサン作のじゃがアリゴが並ぶ。
「うはー豪華!!すごい!!」
「ディナーっぽいですね!!三時過ぎですけど今!!」
「ちーちゃんが作ってくれた料理がキラキラして見える…!!」
「松本、それは幻覚だ。どれも同じに見えるぞ。」
片付け要員がキャッキャしてる横では、さや先輩からの千里子さんへのレクチャーが続く。
「今回は材料があったのでシーザーサラダのドレッシングも温玉も作ったけど、あるなら市販品が楽よ。どちらも、コンビニで買えるから遅い時間に買い物しなきゃいけなくなっても大丈夫。
カット野菜もうまく使えばいいと思うわ。」
「わかりました!!」
★★★★★
料理は文句なく美味しかった!!
ハンバーグの中からチーズが出てきて感動した。
「さや先輩…!チーズハンバーグってお家でも作れるんですね…!!」
「誰でも簡単とは言えないけど、作れるのよ千佳ちゃん。
じゃがアリゴ美味しいわ。」
「へへ~
ほとんど私が作りました!!」
「ケトルのお湯をそのままぶっこもうとしたのには驚いたぞ、鈴丼。
計量しろよ。分量言ったし、計量カップも用意したっていうのに…おおざっぱ過ぎる。」
「ミトサン!!それは言わないでくださいよ!!」
ミトサンが種明かししてしまう。
くっ!そこは黙ってましょうよ!!
するとワイン三口で真っ赤な丹波がへらへらしながら言った。
「鈴木先輩、分量守るのは料理の基本ですよ?」
「丹波にだけは言われたくなかった…!
セクハラ野郎にだけは言われたくなかった…!!!」
「あ、謝りました!!無罪ですよ!!!」
「いや、罪は罪だぞ?」
あまりにもイラっとしたので昨日の膝枕事件を蒸し返してやった。ごめんで済めば警察はいらないんだよ丹波!
さや先輩だから、あらあらまぁまぁぐらいで済んだけど他の人だったら案件だからな?
そして那珂先輩にも追い討ちをかけられる丹波。ざまぁである。
「丹波君、お詫びはエグロワイヤル使用のプリンと窯だしプリン、なめらかプリンを日替わりで買ってきてくれればいいわ。三日分だから安いものよ?」
「ほ、穂積先輩?!俺、マンゴー買ってきましたよ?!」
「ふふ、みんなで食べる用に手土産で買ってきてくれたのよね?今、丹波君も食べてるでしょう?」
珍しくさや先輩が攻勢だ。
「豆っ子は痛い思いしないとわからないからな。」
「水卜先輩の入れ知恵!!
あーもー、わかりましたよ!お世話になってますし毎日買ってきますよ!!!」
「それで許してくれるんだから、さやちゃんの優しさに感謝しろな。」
キレ気味に丹波が了承する。
ミトサンが笑って言って…って…!!!
「なんでミトサンがさやちゃん呼び!!?図々しいですよ!!!」
「はっはっは、図々しさは鈴丼に及ばないぜ?本人には了承得たぞ?」
「なんで許可しちゃうんですか、さや先輩!!ミトサンつけあがりますよ!!」
さや先輩は困り顔で返事をする。
「それが駄目ならさーたんって呼ぶって言うから…」
あー…、さやちゃんかさーたんかって言われたら…そりゃあ、さやちゃん選びますよね。
「二択しか与えないごり押し…さすがミトサン…えげつない…」
「お誉めにあずかり光栄です。」
誉めてないですよ、ミトサン。