こゆい。
「もー!!おとくんってばひどい!!おもいよ!!」
少しハスキーな可愛らしい声がした。
そちらを見ると…
ボブの艶やかな髪色はミルクティー色。
自前の長い睫毛にヘーゼルの瞳、白い陶器のような肌、そして華奢でほっそりとした長い手足をもつ妖精さんこと滑川 七瀬さんがそこにいた。
相変わらず美しい!!
今日はショートパンツにサンダル、白のレースブラウスに女優帽子といういでたち。
「ナナちゃん、おとーさんなんとかして。」
「おとくんっ!!めっ!!
さーたん困ってるでしょう!もう遊び来てくれなくなるよ!!」
「それはこまるなぁ。さーたんすんまへん。」
「全く…
例のもの、持ってきました?」
「うちのハニーが持っとるよ。」
「はい!さーたんのお使い行ってきましたよ!
あ、お代は心配はしなくていいよ!おとくんが絶対迷惑かけるだろうからおごらせてください。
締め切り明けでハイになってるみたいなの。ごめんね~」
クーラーボックスから白い箱を渡されるさや先輩。
なんだろう。それを更に開け、濃いブラウンの箱を取り出した。
んん!?
あのロゴはもしや…
「穂積さん、それって有名なジェラード屋さんですよね?!」
富久山が目を煌めかせて駆け寄ってくる。
女子か!
「はい。甘いものも食べたくなるなと思いまして、友人のナナちゃんにお使いをお願いしたんですが、余計なものもついてきてしまいみなさんに迷惑お掛けしました。」
「ずっと食べたかったやつ!優君!!あの店のだよ!!」
御堂筋さんの登場に悲鳴を上げた後、松本先輩に抱き締められていた千里子さんも目を輝かせて松本先輩を押し退けて寄ってくる。
「ちーちゃん…」
松本先輩、全力ダッシュで彼女の元に駆けつけて守りにはいったのに雑な扱いされて哀愁が漂ってる。
うむ、あわれ。しかしリア充なのでちょっといい気味である。
「前に千佳ちゃん食べに行きたいって言ってたでしょ?
なかなか行けないから取り寄せしようかなって。
宅配便使おうと思ったんだけど、不意の残業が続いて受け取れないかもしれないから、ナナちゃんの家に配送してもらうようにしようと思ったんだけど…」
さ、さや先輩…!!マジで女神…!!!
「おとくんが受け取った場合、全部食べちゃいそうで…なのでデートついでに買いに行くことにしました!」
御堂筋さん、どんだけアイス食べるんてすか?
「え、それ十個以上ありますよね?」
思わずといった感じでミトサンが尋ねる。
「あ、いきなり会話に入って申し訳ない。
穂積さんとは同じ会社で課は違うんですがお世話になっています。水卜 悠馬です。水卜は女子アナと同じ字の。」
「あ、これはご丁寧に。
私は滑川 七瀬です!さーたんの同級生で大親友のショップ店員です。
よろしくミトちゃん!!
私の事は七瀬でいいよ、もうすぐ滑川じゃなくなるから!」
「えっ、ナナ先輩!!もしかして…!!」
「鈴ちゃんこないだぶり!!
ふふ、そうです!今度、おとくんと同性婚しまーす!!!」
御堂筋さんの腕をとりVサインでナナ先輩が宣言する。
女性陣はおめでとー!!と拍手喝采だ。
少しの間をおいて…
「「「「「「「お、男ーーーーーーー!?????」」」」」」」
男性陣が驚愕の声を上げたのだった。




