少し離れると、ちょっとした地獄(笑)
さや先輩と私は、さや先輩の家近くのコンビニに居た。
家の前に来られるのはごめんだ、と私にこっそり教えてくれたさや先輩の希望で最寄りのコンビニで樋口部長の車を待つ。
「なんか来ませんね?」
「今レンタカーに乗ってるの樋口部長と富久山君に高橋君でしょう?
恋の鞘当て合戦でお迎えどころじゃないのかもね…いやぁ暑い…
ちょっと中で涼んでましょう。
グループトークに何もメッセージ無いし…あ、ソフトクリーム食べない?ずっと気になってたのよね。」
「それならおごらせてください!!!
パイン&マンゴー食べたい!!!」
そんなわけでお礼もかねてさや先輩にパイン&マンゴーソフトクリームをおごり、一緒にのんびり食べて、トイレも済ませた頃にやっと樋口部長達が来た。
「遅れるときには連絡を入れていただけると助かります。」
よろしくお願いします、の後のさや先輩がジョブを入れる。
「あの、えっと俺が樋口部長と高橋さんに作ったおにぎり忘れちゃって戻ったんです…!
なので、樋口部長は悪くないです。」
「そうですか。忘れ物なら仕方ないてすね。
ただ、私達のようにコンビニ前で待っている人ばかりではないと思うので、遅れている連絡を皆に回してもいいですか?」
何故か富久山が答える。さや先輩は笑顔の仮面でやんわり言った。
おいおい、それならお前か高橋先輩がみんなに連絡しろよ。
なんのためにグループトークにしてんだコラ!!!
「ああ、すまんが頼んだ。」
しれっと答える樋口部長。
高橋先輩にいたってはおはようございますの後は黙りだ。
一番後ろの三人からもっとも離れた所に座ってからさや先輩が『忘れ物で遅れていたようです。今、千佳ちゃんと私のところに迎えに来てくれました。』と送るとすぐに電話が入ってくる。
「はい、穂積です。」
『水卜です。申し訳ないけど、豆っ子の家の鍵が行方不明なんだ。先に那珂達の方を回ってもらえるよう頼んでもらえるかな?』
おおい!!丹波何してるの?!さや先輩の隣だからミトサンの声もよく聞こえる。
すぐにさや先輩は通話内容を樋口部長に伝える。了承の返事をもらったのでそれも伝えると、
『お詫びに豆っ子にコンビニで飲み物おごらせるから。
何がいいか聞いてくれる?』
と、ミトサン。
結果、富久山以外はコーヒーで富久山はカフェオレとなった。
しかもガムシロ4つって、お前…いつか糖尿になるぞ…
那珂先輩達が乗車するまで、富久山達は愛の劇場三角関係編を繰り広げていた。
メンバーがメンバーなこともあり、トキメキとか美味しさは一切感じず私とさや先輩は無の表情でひたすら焦点をぼやかして耐えたのだった。
せっかくの生のBL展開なのに、もう樋口部長と高橋先輩と富久山が苦手すぎて楽しめないぜ、ちくしょう…
なにこれ、地獄なの?