ちょっと世界を知ろうぜ?
「大神課長に会ったんですか?
いいなぁ、奥様にも会ってみたかった!美人なんですよね!!」
買い物を終えた私達はフードコートに居た。
食べたいものが別れたのだ。私はローストビーフ丼が食べたくて、丹波は焼きそばとたこ焼き、ミトサンは海鮮、さや先輩は皿うどんだった。
食事も終わりかけの時、丹波が大神課長夫妻に会ったと言ってきた。
奥様はすこぶる美人で、確か娘さんたちも美人揃いだって聞いたことあるぞ。昔の家族写真がディスクにあるのをちらっと見たことある。
「大神課長の奥様、美人でしたね。今もきれいだから若い頃は相当ですよね!車椅子に乗っててビックリしましたけど…」
「事故にあって奥さんに介護が必要だから在宅や短縮勤務をしてるとは聞いてたけど、車椅子が必要な状態だったとは知らなかったなぁ。
それにしても穂積さんは奥さんとも面識あるんだな。お見舞とか行ってたの?」
「はい。大神課長は新人研修やその後の部署でもお世話になってましたから。
新人の頃、由貴菜さん達と一緒に夕飯を御馳走になったりしましたね。創設されたばかりの頃で、人数も今ほど居ませんでしたしアットホームな感じで…女子は四人だけだったのもあって可愛がってもらいましたよ。
色々お世話になってるので…少しでも恩返しできてればいいんですけど。」
「さや先輩の師匠なんですねぇ、大神課長。」
「ふふ、そうね。師匠の足元にも及ばないけど、目標かなぁ。」
「けっこうおよんでると思いますよ?」
大神課長もすごいけど、でも…さや先輩もすごいと思うけどなぁなんて思ってると丹波が不思議そうに言ってきた。
「鈴木先輩はいうまでもないですけど…
前に松本先輩や那珂先輩がいつか恩返ししたい的なこと言ってたし。
水海道先輩も穂積先輩が居ないと課が回らないから迷惑かけないようにちゃんと話を聞いたり確認してから仕事しろって俺言われてますもん。」
「秘書課の美人達もだけどうちの課とかでも評価ものすごく高いし、頼りにされているぞ。」
「え、あ…ありがとうございます…」
かあぁ…と耳まで赤くなって照れながら頭を下げるさや先輩。
とても可愛いです。
「まぁ、さや先輩ですからね!
当然の評価ですよ!!!」
「鈴丼、お前が言うなよ。」
ドヤーっと私が言うと、ミトサンに突っ込まれたのだった。
★★★★★
さや先輩は水を箱で買うのを忘れたとの事で、まだ食べ途中のミトサンと私は居残りをし荷物持ちに丹波を付けることにした。
さや先輩は恐縮してたけど、丹波の事はもっと雑に扱っていいと思います。
「鈴丼、大神課長の二つ名知ってるか?」
「なにそれかっこいい!知りませんけど、なんですか?!」
「仏の大神」
「時代劇の同心っぽい!!」
「穂積さんにもあるぞ?」
「なんと!!」
なんだろう。女神とか聖母とかかな?それとも必殺仕事人かな?
「猛獣使い穂積。」
「もうじゅうつかい…」
「樋口さんいなしたり、昔調子づいてた那珂や松本を使いこなせるよう育てたし、鈴丼や豆っ子を飼い慣らしてるだろう?」
「ちょ、ミトサン!
丹波はおいといて!!私も猛獣ですか?!ひどくない?!女子ですよ私!!!」
大変遺憾である。
しかし私の抗議はミトサンにさらーりと流されてしまったのだった。




