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おのれ、樋口。

「そういえばほづちゃんって何で居ないの?」



「仕事終わらなくてオフィスです?」



「今日は休み?」



秘書課の美女…佐川 由貴奈(ゆきな)さん、(ほむら) まどかさん、影浦(かげうら) 莉子さんの順に問いかけてくる。

それぞれタイプの違う美女である。

佐川さんは後で髪をきれいに巻いてまとめた気の強そうなダイナマイトボディの美女、焔さんは清楚系で肩までのストレートの絹のような黒髪の美女、影浦さんはボブカットのきりりとしたハーフ美女だ。


私はさや先輩が何故居ないかの説明をしたが、派生で丹波の無神経発言も那珂先輩により補足された。

丹波はミトサンの説教という名の一撃を受けた上、美女軍団からも口撃を受けしょぼんとしている。



「丹波、さや先輩が優しいからって調子に乗るとこういうことになるんだよ。」



「調子にのってないですよぉ…」



涙目の丹波はなんか子犬っぽかった。こいつ、属性が子犬系か。

流れで天花寺社長が来た後のやり取りも話すと佐川さんが苦笑いして言った。



「樋口君相変わらずだね…

まーた、ほづちゃんに尻拭いさせてるのか。」



頷きながら焔さん、影浦さんも続く。



「ほづちゃんは普段目立たないけど、何かあったときすぐに機転が利いて言うべきことは相手が受け入れやすいように伝えるのがうまいんですよねぇ。」



「縁の下の力持ちだよね。」



「確かに…大ポカすると内向きの事で一番動いてくれるのは穂積さんですね。

教育係もしてくれたし、いざという時頼りになる人ですね。」



那珂先輩も話にのってきた。

うはーさや先輩やっぱりすごいんですね!!素敵!!!



「樋口部長とさや先輩って今の課ではじめて同じとこになったんじゃないんですか?」



私が尋ねると、焔さんが答えてくれた。



「ほづちゃんは短大出てここに就職したので、大卒の私達と同期だけど年下なのは知ってるかしら?

三年目の頃に樋口さんがほづちゃんが配属された課にきたの。

早い訳じゃないけど丁寧に仕事もできて穏やかな対応もできるから…ってことで樋口さんの教育係になったんだけど、まぁ、彼は有能だけど周囲に無配慮なところあるじゃない?

今はまぁ、少しはましになってきてるけれど当時は色々と軋轢を生んだんです。

可哀想になるくらいほづちゃんが対応したり謝罪したりしてたわ。」



「わー、なんか想像つきます。

昔から何様俺様樋口様だったんですねぇ…」



「鈴木、お前そんなことを思ってたのか。」



「思うだけなら自由です。」



那珂先輩のつっこみにきりりとした顔で返す。

そのやり取りを眺めで笑った後に今度は影浦さんが話す。



「課も違ってなかなか助けられなくて、休みの日とかは連れ出して話を聞いたり、遊んだりして気分転換ぐらいしかできなかった…まぁ、それはそれで楽しかったし楽しんでたのだけど。

あの頃はまだ私達は鈴木ちゃんと同じ位、ほづちゃんにいたってはそこの新人君と同じ位の歳だったし。

今は、職場では必要最低限の服装やメイクしかしないけどあの頃はほづちゃんも控え目ではあるけどお洒落を楽しんでたのよ。

けどね、ある日長かった髪をバッサリ切って、地味な服装になってあんまり笑わなくなったんだ。

ここ何年かだよ、職場で楽しそうに笑う事もあるようになったの。」



「なんで…」



私は穏やかで笑顔が優しいさや先輩しか知らない。

というかさや先輩みたいな後輩いたら全力で可愛がるのに。なんで丹波なんだ。

いや、しかし先輩としてのさや先輩は最高最強だからやはり自分が後輩ポジションがいいかなぁ~



「それが分からないのよね。

原因は樋口君なのは分かってるんだけど、何があったのかさっぱり。

ほづちゃんはあの性格だからね、私達が心配したり報復して戦争にならないようにと思ってだろうけど絶対に口を割らなかったし、周りにも言わないよう口止めしてたんだわ。」



佐川さんは色っぽくため息をつきながら教えてくれる。

さや先輩優しいなぁ…というか報復とか戦争とか物騒な言葉が美女から出るとはおもわなんだ。



「穂積さん、昔ロングだったんですね。髪綺麗だから似合いそうですね。」




どんぶりに大盛りのご飯で肉野菜炒めを食べながらのほほんと丹波が言う。さや先輩の髪、確かに綺麗だ。

おすすめのヘアケアのクリーム試したら昔染めたりを繰り返して痛んだ私の髪もましになってきている。感謝!!



「ふふ、ほづちゃんの髪ケアの心得を伝授したのはこの私よ。」



佐川さんがどや顔で言う。



「ということは私の師匠ですね、佐川さん。私、ヘアケアのアドバイスさや先輩に伝授されたので。」



「ふふ、尊敬していいのよ?」



きゃいきゃい盛り上がっていると、珍しく苦虫を噛み潰したような顔でミトサンが言った。



「樋口さんが原因の出来事を俺は多分見てる…」







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