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さや先輩、接待昼食(クエスト)に行く。

外はうだるような暑さだった。


ご所望のインドカレーの店は細い路地の先にある。

天花寺社長の車は一番の最寄りのコインパーキングに停めてもらいそこから徒歩だ。

コンクリートの照り返しが暑かったが、裏路地を進むうち涼しい風が吹き抜け徐々にスパイスの薫りが漂ってきた。



「この香りはたまらないわねぇ…」



「来るまでが大変で申し訳ないのですが味は確かですので…」



「来たいって言ったのは私なのだから、気にしないでちょうだい。

今でこそ運転手付きの車で移動できるようになったものだけれど…昔は電車やバスはもちろん、走り回ったり自転車で動き回ってたからこれでもけっこう体力あるのよぉ。」



美形は何をしても美形なのだなぁとぼんやり思う。

天花寺社長はもちろん美形だし、秘書見習いのランスロット・イエィガー君は美少年な天使だし、運転手の人もダンディ。

皆、汗をかいているがなんというか…キラキラエフェクトかかってる感じかする。綺麗な汗のかき方をしてるといえよう。

自分の化粧崩れが気になって仕方がないがもう腹を括るしかない。

ランスロット・イエィガー君は慣れない日本の暑さにやられているのだろう。目が虚ろだ。

そうこうしているうちにようやく店につく。

相変わらずカオスな店構えだ。



「皆さん、水は先に出ると思うのでこれも一緒にどうぞ。」



店に入る前にとりあえず熱中症予防のタブレットを渡し、店に足を踏み入れたのだった。














★★★★★







気はつかったが、それはそれは美味しいカレーだった。

ほんと、それだけが救いだ。



「いや~!また来たいですねぇ!!」



「ほんとにねぇ!宮本の食べてたキーマも最高だったわね!!」



「こんなに美味しいなんて知りませんでした!!

このラッシーも美味しいです!!」



行きの屍の行進が嘘のように生き生きしていらっしゃる。

満足してくれてなによりだ。

ここの店はとにかくナンがどでかい。

本当にどでかい。

なのであまり副食を頼み過ぎないよう説明するのは骨がおれた。

あのナンが出たときの三人の顔ったらなかった。

美形は何をしても美形なんだけど、ポカーンってしてたな。

千佳ちゃんにも見せたいくらいだった。



「穂積ちゃんに感謝よねぇ。

あなたいつもどうやってこういう店見つけるの?」



「友達に聞いたりテレビとか雑誌、ネット…

ああ、あと無料のタウン誌とかですね。意外と色々のってます。

私が食べるのが好きだって知っていて色々教えてくれるんですよね。うちの課だと水海道さんも色々お店知ってますよ。」



「穂積さんは美味しいお店も知っていますし、美味しいお茶も淹れられますし、素晴らしいですね。」



キラキラした眼差しでランスロット・イエィガー君がこっちを見てくる。

あまり見ないでほしい。

化粧ハゲかけの三十代をあまりじろじろ見ないでくださいませ、切実に。



「社長にご満足いただけるようなお茶を私も淹れるようになりたいので、聞きたい事ができたら連絡しても良いですか?」



「ランスはなんて勤勉なのかしら!

そうなさいな。穂積ちゃんいいかしら?」



キラキラしい上に大事な取引相手である天花寺社長とランスロット・イエィガー君にそんな風に言われれば、私には『はい』と言う以外の選択肢は残されていないのだった。










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