ライフはもうゼロよ!
なんやかんやあったが、さや先輩は樋口部長や大神課長が話し合いを始められるまで場を繋ぎきった。
そして、合間を縫ってお茶出しをし、その度捕まり…
を繰り返した結果ー…
「天花寺社長にお誘いを受けてインドカレーのお店に行くことになりました。」
「さや先輩、目が死んでる。」
「何でそんなことに…」
「え~いいなぁ!
タダ飯じゃないですか!羨ましい!!」
「こんのぉアホが!!謝罪しろ、今すぐにだ!!」
ハイライトの消えた目でさや先輩が告げるが、呑気な丹波は羨ましがった。
知らないって怖い。
いいなぁ、とか言える神経、世間を知らぬ新人ならではだなぁ。
秒で那珂先輩が怒りの鉄拳を下した。
「いでーっ!!!!」
「あらあら丹波君ちょっと賢くなったかもしれないわね、フフフ…」
痛がる丹波を微笑ましそうに見て言うさや先輩。
ダークさや先輩降臨ですね、そうですね。
「うっ、穂積先輩が優しくない…!!!
もしかして失礼なこと言いました?俺。」
「うん。かなりね。」
「穂積先輩、丹波の件は水卜さんに報告の後きっちり絞めておきますので気にせず行ってください。
お気をつけて…」
今更ながら気付く丹波。
全てが遅すぎるんだよ、お前…
ミトサンに報告されたらお説教(物理)が絶対つくぞ。
それにしても那珂先輩ってけっこう喋るし面白い所もあるんだなぁ。
寡黙系眼鏡だと思ってたよ。
「頑張ってくる。
じゃあ、千佳ちゃんをよろしくね。」
「お任せを。」
「なんかよかわからないけど託された感じです?
行ってらっしゃ~い!」
こうして、満身創痍なさや先輩は接待昼食に強制参加となったのだったー…
★★★★★
「あれ、大神課長達は残ってるみたいですけど…?」
さや先輩と入れ違うように、どやどやと大神課長や樋口部長達が戻ってくる。
てっきり打ち合わせメンバープラスさや先輩だと思ってたのに。
できる先輩の那珂先輩がさっと大神課長に訪ねに行き…少し話して戻って来た。
「大神課長達は打ち合わせがあるからって断ったらしい。」
「え?!さや先輩生け贄にしたんですか!!?ひどっ!!!!」
渋い顔で那珂先輩が言うので、思わず大声で言ってしまった。
むろん、大神課長達を見ながら。
全員目線をそらす。図星か。
大神課長すらそらす。事実か。
あーあ。渡る世間は鬼ばかりなんだなぁ…
こうして、
さや先輩はオネェにドナドナされ私は社食に行くことになったのだった。




