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ほら飛んでみろよ、ほらほら。チャリンチャリン。

「穂積先輩!あ、あと鈴木先輩も。

土曜日はなんか酔っぱらって迷惑かけたらしいって聞いて、申し訳ありませんでした!」



朝イチのオフィスで出会い頭に丹波に謝罪を受けた。

おいこら、私はついでかよ丹波。



「覚えてるの?」



「実はあんまり…

でっでも!よくないことをくちばしったって水卜先輩に聞いたので謝罪をしなきゃと思った次第です!!

申し訳ありませんでした、おわびに何かおごります!」



「いや別に、飲みすぎに気を付けてくれれば構わないから…」



丹波このヤロー!とは思うが、さっきすれ違った高橋先輩が挨拶しかしなかったのに比べれば許せる。

高橋先輩から何もあのあと言ってきませんでしたよ!

もちろん富久山もな!!



「おい、バーベキューの参加費今払えるか?

今日、振り込みに行く。」



通りすがりの樋口部長が集金してきた。

さや先輩は封筒をさっと出して渡している。さすがである。

私はちょっとした嫌がらせもこめて小銭は10円や50円混じりで渡す。


丹波は固まっている。



「丹波、出ないなら立て替えるが?」



「い、いえっ!出せます!出せますから!!」


樋口部長に声をかけられ、ハッとすると慌ててお金を差し出す。

財布の中身が見える。

札は千円のみ、小銭はおおよそ五百円弱のみ。

今日は火曜日。

ちなみに今週の金曜が給料日である。

それで、おわびにおごりますって…気まずいというか可哀想で何も頼めない。

ちょっと涙目だぞ、丹波。

樋口部長が去った後、丹波は震え声で言った。



「そ、そんなに高いものは無理ですけど、なにかごちそう…しますっ!!!」



「丹波君、気持ちだけで十分よ。ホントに。」



「給料日前だから無理する必要ないって。」



「ダメですよぉ!!

ちゃんとおわびしないと!水卜先輩にもしかられます!!」



どんだけミトサンが怖いか好きなんだよ丹波!

どっちもなのかなぁ。ミトサン面倒見良くて頼りになるけど怒るとめっちゃ怖いからなぁ…


いらない!だめです!!の押し問答を暫くしていると噂のミトサンがやって来た。



「おはよーっす、丹波ちゃんと詫びたか?」



「わびさせてくれません!!」



「は?」



「分かったわ…丹波君。そこまで言うなら…」



さや先輩がため息をついて言った。



「ブラックサンダーひとつおごって。」



「じゃあ、私はうまい棒な。コーンポタージュと明太。」



「!!

分かりました!今すぐ行ってきます!!!」



丹波はダッシュして行った。始業時間まで後、15分だけどあの調子なら5分前くらいには帰ってくるだろう。



「アイスでもおごってもらえば良かったんじゃないか?」



首をかしげるミトサン。



「いや、あの財布の中身見ちゃうとちょっと…」



苦笑いのさや先輩の言葉にいまいちピンと来ていないミトサンに補足で言う。



「丹波の財布の中身、1500円も無かったんですよ。

給料日までまる四日あるのに…」



「まじか…」



三人して遠い目になるのであった。
















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