さや先輩、頑張っちゃうぜ!
「大丈夫ですか?」
「どれがかな?」
大神課長の元を離れ、別な課に返す資料を運ぶ為に廊下に出ると、後ろから那珂君がやって来て半分以上資料を持ってくれた。
紳士だなぁ。
「バーベキュー、大丈夫ですか?」
「あー、まぁね。参加するって決めちゃったから。
樋口部長に強制参加にさせられた詫びに高めの昼ごはんご馳走になったし出ないわけにはね。」
「え、自主的にじゃないんですか?」
「社の飲み会とか極力参加せずに過ごせるように全力でいるのに、まさかそんなわけはないわ~
なにか言ってた?樋口部長や富久山君。」
「穂積さんや鈴木と打ち解けたいけどきっかけがない~って富久山がこぼしてましたね。仲良しグループじゃないんだからその前に仕事しろとは思いましたけど。
それでバーベキューですか。楽しそうだから参加するって言ってたと俺は樋口部長から聞きましたけど…
穂積さん…大変ですね…」
あらあら、那珂君なかなか辛辣。けど事実よね。
確かにコミュニケーションは大事だし、仲が良いに越したことはないけど、まずちゃんと真摯に仕事しないと。
お金を貰ってるわけだしね。
「鈴木さんが抜けてるよ、那珂君。」
「あいつ、穂積さんが行くなら多分どこでも行くんじゃないですか?
穂積さんとアウトドアってなんか結び付かなくて、今の話聞く限り一番大変そうだと思いますけど。」
「ご心配ありがと。
確かにアウトドア系は縁がないし苦手かなぁ。
でも体力はそこそこあるのよ。お店巡りや書店巡り趣味だから。」
夏コミ冬コミは体力と気力と根性と準備が必要だしね。
「ここまでで良いよ、どうもありがとう。
もし大丈夫ならバーベキューの時高橋君や富久山君、樋口部長から千佳ちゃんが変にからまれないように気を付けてあげてくれる?」
「はい。それぐらいならお安いご用ですよ。」
珍しくふわりと笑って那珂君が言う。
無表情気味だけど、けっこう気にしいで優しい子なのだ。
千佳ちゃんや私が悪く言われないよう知らないところで頑張ってくれてたりね。
「那珂君も、ね。
あまり私達のフォローし過ぎたり無理に飲み会参加すること無いからね。飲み会は楽しく参加するのが一番だし。
じゃあ、またね。」
ちょっと自分達のオフィス離れるのは心配だったけど那珂君が戻ってくれるから心強い。
この資料返したら、水卜さんにもコンタクト取れるように頑張らなきゃ。
どうせ参加するならのびのび楽しく居てほしいから。