食べれるし入るし。
翌日、天花寺社長とランスロット君がやって来た。
最近は少し早めに来てさや先輩とお話してたけど、今日は時間ちょい前に到着だ。
「天花寺社長、先日はありがとうございました。」
樋口部長がモタモタしているすきに声を掛け、頭を下げた。
「あら、あなた穂積ちゃんの後輩の…鈴木ちゃんだったわね。」
「覚えてていただいていて光栄です。
これ、少しですが穂積と私から…会社近くの小さい洋菓子舗ですが美味しいんです。
ええとランスロットさんにも、穂積から預かりものです。
紅茶、とても喜んでました。」
緊張しつつも笑顔で対応する。
見習うはさや先輩のふんわり笑顔…!!
「あら、律儀だこと。
返すのも忍びないし、ありがたくいただくわ。
穂積ちゃん、今日なんでしょ?」
「はい。直接渡せず申し訳ないといっておりました。」
「ふふ、気にしいねぇ。相変わらず…ってランスどうしたの?」
さや先輩から頼まれたお祝い返しの中身を見て瞳をキラキラさせるランスロット君。え、何?!
美少年のキラキラ顔とかほんと朝から尊すぎて浄化される!
「すごい…さやさんに前、うまい棒色んな種類食べてみたいって言ったの覚えていてくれて…!」
でっかいプレゼント袋から取り出されたのは…
「うまい棒ショルダーバッグ…!!!」
「えっ何これ?!」
「クールジャパン!!!」
いつかテレビで見たことのあるうまい棒で作られたショルダーバッグ!!
おっきいのにやけに軽いなぁ?って思ってたらこれか!!
いそいそとそれを肩掛けするランスロット君。可愛い。おやつにもなるし、荷物も少しなら入るっていう優れものじゃないですか!(笑)
「お話し中申し訳ありません。担当の一人が席をはずしておりますので、先に会議室にお通しします。
鈴木さん、お茶出してくれるかな。丹波、案内を。」
きゃっきゃしてると水海道先輩が声を掛けてくる。
「あらあら、そうなの…丹波君だったかしら。案内よろしく頼むわね。」
「はいっ!こちらですどうぞ。」
案内しながらうまい棒の話で盛り上がる声が遠ざかっていく。
「…ページが1枚足りないんだとさ。」
笑顔がそげおち、げんなりとした顔で水海道先輩が言う。
「は?準備万端じゃなかったんですか…?」
「ほら、昨日は二人でコピーしてたろ。そんでもって富久山が書類廃棄も一緒にしたらしくてね。」
「あ、察しました…」
書類、紛れさせてシュレッダーの餌食にしたんですね、そうなんですね…
「しかも、真ん中が抜けたらしいよ?
で、気づいたのは樋口部長じゃなかったそうだ。昨日は分けるのも閉じるのもやってたはずなんだけどねぇ~」
「もう少しかかりそうですね…」
「そうだねぇ…とりあえず飲み物よろしく。」
「ガッテン!」
二人でふかーいため息をはいてお互いに動き出したのだった。