さよならは笑顔を添えて。
にっこりさや先輩は笑った。
それはそれは晴れ晴れとした笑みで。
「樋口部長関連のフォローはもうしません。
もちろん助力を求められれば協力はしますよ。けれど今までのようにはしませんので。」
さや先輩は、樋口部長というか課の皆に言った。
ざわりと周囲がざわめくが樋口部長は眉をしかめて分かってない様子。
「穂積がフォロー?雑用を片付けていたのをフォローというのか?
別に無くてもいいものだろう。…恩着せがましぞ。」
吐き捨てるように言う樋口部長。
うーん、人としてその言い方はどうなの?まぁ、樋口部長だからな……………
………………いや、許せん!!!!!!
いつかギャフンと言わせてやるからなこんちきしょう…!!!
ミトサンもうすぐ妻が酷いこと言われてるのに何にも言わないの??!って思って顔みて後悔した。
無表情!
目がものすごーく冷たいけど無表情!!!
怖い!そんな顔で見つめられたら泣いちゃう!!!絶対っ敵認定してるよ!これから色々大変だぞ樋口部長。
ミトサンの本気にさや先輩のフォロー無しで立ち向かえると思ってるの?!
さや先輩、大丈夫…って笑って…る?
いや、あれは…
「そうですね、あなたにとっては雑用でしょう。
けれど、チームとして動くなら必要なことでしたよ?まぁ、恩着せがましいと言われるならもうしないのでご安心を。
…さてと、千佳ちゃん手伝うわ。定時で一緒に帰りましょう。」
「じゃあ、俺も帰るな~
鈴丼にさやちゃんまた後で~」
さや先輩が樋口部長に背を向けると、ミトサンは笑顔で帰っていった。
さや先輩、笑ってるけど…怒ってるよね…?
「さや先輩…」
「私が全力でサポートするわよ?」
そう言って私に笑いかけたさや先輩は、いつものふんわり笑顔だった。切り替えすごい!さすがです!!
「…鈴木さん、俺も仕事終わったとこなので手伝います。」
おずおずと高橋先輩が声を掛けてきた。
ふざけんな…!!!と思う気持ちもあったけど顔を緊張で青ざめさせ、声をわずかに震わせながら言った勇気を思うと怒りも落ち着いた。
顔はいいんだよなぁ、この人ほんと…
美形のそんな顔拝めたのでまぁ、少しは許してやろうかなぁという気にもなる。完全には許せないけどね!
「えっと、その、よろしくお願いいたします。」
★★★★★
さや先輩におまけの高橋先輩、それに水海道先輩や松本先輩も助っ人してくれたので私は定時ギリギリに仕事を終えることができた。
その流れで帰りは大盛りで美味しい近くの中華屋さんで夕御飯を食べたのだった。
みゆちゃんや丹波、那珂先輩も加わりとてもにぎやかで楽しい夕食になったのだった。
ちなみに、家族にお土産として中華まんを買うという水海道先輩に便乗して私も買ってみて朝ごはんにレンチンして食べたけど、めちゃくちゃ美味しくて朝からるんるんで仕事に行けたのだった。