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よ、呼び出しだぁ…!!

時刻が三時を回った頃、さや先輩が呼び出しを受けた。

待ち受けるは総務課の女子軍団…えっ、これってもしや…!?



「…穂積さん、聞いたわ…

営業一課の水卜さんと結婚するそうじゃない…」



一歩前に出たのは、総務のお局様の鬼瓦課長。社長が会社を立ち上げする時に引き抜きして来てもらった最古参の一人だそうで、独身である。

あれ、確かミトサン営業行く前は総務に在籍してたって言ってたような…



……………はっ!!

もしや鬼瓦課長、ミトサンが好きでとかいうやつ…?!

あー!!見た目は良いからミトサン!!!

那珂先輩程じゃないけど、確かにかっこいいもんな!!なんか営業部で観賞用扱いされてたから他もそうだとばっかり…!

さや先輩、ピンチですか?!!

こ、怖いけどいざとなれば助けにいかねば…!!!

そんなことを思いつつ、影から見るしかできない!!



「なんかドラマみたいになってますね…」



私の頭上から覗きながら松本先輩が呟く。



「やっぱあれですか?水卜君にふさわしくないのよ!的な…?!」



「水卜さん、対外的には優良株だろうしな…」



「おお、ムッツリ眼鏡な那珂先輩、めざとくデバガメですかい?」



無言で頭を鷲掴みにされる。

イタイイタイ!もー!冗談のひとつも通じないなんて!頭にきたので小声で反論した。



「そんなムキになるって図星でいだだだだだだだだだだだだだだだ!」



「二人とも気づかれます。止めてください。」



松本先輩ストップでとりあえず解放された。

てか、松本先輩!かわいそうとかでなく?!くっそー、なんか最近私に対する扱い雑になってません!?



「はい、今週末に入籍します。

手続き等でお世話になることも増えると思いますので、お手数おかけしますがよろしくお願いいたしま…」



「そういう問題じゃないのよ!!!」



さや先輩の言葉を遮る鬼瓦課長!!

ひえっ!修羅場?!修羅場になっちゃうの?!!



「おい、鈴木!止めてこい!」



「えっ、どうやって…!!?」



いきなり那珂先輩に前に押される。



「なんか入力できませーんって空気読まずに突入しろよ!」



「はぁ?!

丹波じゃないんだからそんなことを言えるわけないでしょう!那珂先輩偶然を装って行ってくださいよ!」



「バカ、こういうのは男が出る方が拗れるだろうが!ほら行け!!」



私達が醜い争いを繰り広げていると、鬼瓦さんがさや先輩の肩をがしりとつかんだ。



「っ!!!さや先輩!!!!」



思わずノープランで飛び出しかけたとき、鬼瓦さんが絞り出すような声で言った。



「ほんとにっ、ほんっとぉーーーーーに!!!水卜で良いの?!穂積ちゃん!!!!?」



「へ?」



「えっ?」



さや先輩がキョトンとした顔になる。



「穂積ちゃんが顔で男を見てないのは樋口部長で実感済みよ?

水卜もまぁ、いいやつよ!?部下とか同じ社の者としては頼りになるし…!!

けど、良いの?あいつけっこう性格的に事故物件よ?!!

穂積ちゃんいい子なのに漬け込まれてない!?いや、結婚とかは心から祝福するけど!!相手、本気で大丈夫?!!」



…………えーと、これは修羅場でなく…心配して駆けつけた感じですね…総務課の女子軍団の皆様。落ち着いてよく見れば、みんな心配顔。

さや先輩、愛されてますね!!

そして、ミトサンの信用がなんか行方不明過ぎる…



「あはは、鬼瓦課長ったら!!どっきりじゃありませんよ~」



可笑しそうにさや先輩が言う。

うん、違いますよ、違いますからね、さや先輩。

みんな貴女が騙されてないか本気で心配してるんですよ?

まぁ、気づいてないからミトサンの嫁になれるのでしょうが…



「うーん、その様子だと大丈夫なのかしら…

…まあ、それならいいわ!それより!!穂積ちゃん何がほしい?結婚祝い贈りたいのよ。

穂積ちゃんが欲しいもの言ってちょうだい。準備するわ。あ、遠慮はなしね!」



「そんな…えーと、はい、ありがとうございます。」



拒否しかけてから、思い直して受け入れるさや先輩。ありがとうを言うときの顔、輝いてます!!くっ、可愛い!!!



「悠馬さんにも欲しいモノ聞いてみま…」



「アイツの意見なんぞどうでもいいのよ、穂積ちゃん。貴女が欲しいモノを贈りたいの。考えておいてね。」



口々にさや先輩を祝福してから去っていく総務課の女子軍団の皆様であった。

とりあえず、修羅場にならなくてなによりです、はい。













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