魔王降臨!(笑)
「失礼します。」
なんともいえない空気の中、オフィスにやって来たのは…
「ミトサン!!」
「水卜先輩!!!」
さや先輩をかっさらってく男のミトサンであった。
え、なにしに来たの?さや先輩のピンチを嗅ぎ付けて…てなわけないか。もしも二人でご飯にしよ♪って言う気で来たなら付いていってゴチになるからな?!
「水卜先輩!!
樋口部長が穂積先輩が入籍するっていったら中間決算時期にふざけるなって怒鳴ったんですよ!!」
丹波がプリプリしながらミトサンにずいぶんはしょって言う。
普通だったら多分、水海道先輩とか那珂先輩の指導が飛ぶがなにも言われない。
まぁ、本当の事だしね~
しかし丹波、よく言ってくれた。そして前に出てくれた。怖いもの知らずな新人って言うのもあるんだろうけど…それでもなかなかできることじゃないよ。
後でラーメンおごってやるか。
「へえ~?」
笑顔で首をかしげるミトサン。
こわー!!目が笑ってない!
「な、なんで水卜がここに来ているんだ…!」
ミトサンを見たとたん、頬をひきつらせる樋口部長…あー、この前やりこまれてたもんね。ぐうの音も出なかったもんね。苦手意識持っちゃった感じか。
「え?なんでって…」
「ミトやん、穂積さんが言うまえに怒鳴ったよ。」
笑みもなく水海道先輩が言う。
おこなの?激おこなの?!水海道先輩!!!
「…ふーん。なんで来たかって言うとね…」
ツカツカとさや先輩に歩み寄っていくミトサン。そしてぎゅっと抱きしめる。きゃ~!!!!
そして左手だけとり樋口部長に見せつけた。
「こういうこと。
俺の可愛い婚約者にひどいこと言わないでくれる?もうすぐ妻だけど。」
「えっ、水卜さんが相手!?なんで穂積さんなんか…」
「潤!」
唖然とする樋口部長。そんな中、空気読まない富久山がものすごい失礼なことを言う。許すまじ!
そんな富久山の口を血相を変えて塞ぐ高橋先輩。そして頭を下げる。
「申し訳ありません…!!」
「へぇ~
……………………まぁ、いいよ富久山君のやらかしは全て樋口部長が責任とってくれるみたいだから。高橋、今回は見逃すけど…次はないよ?頼むね?」
そう言ったミトサンの口許は確かに笑っていたけど、見たことを後悔するくらいには恐ろしい笑みだった。
なんなのミトサン。魔王なの?!
「さやちゃん、社長が秘書課の三人美女と一緒に飯おごってくれるから行こうぜ。
そんなわけで、昼休みなんで穂積さん、連れてきますからね。」
そしてさや先輩を連れてオフィスから去るミトサンなのだった。