お約束ってやつ?
「すいません、私のオススメアニメでも見てお待ちください…」
清々しい朝…
時刻は七時半。鳥の鳴き声が聞こえ、珍しく涼やかな風のふくそんな夏の朝…私はパジャマ姿で頭を下げた。
昨日は十一時前には寝たはずだった。
一回、五時半に目が覚めてあと三十分と思ったのがいけなかった。
次に目が覚めたのはさや先輩からの下についたけど出れそう?連絡だった。
青くなったよね。真っ青だよ。
目覚ましもスヌーズも無意識で止めてたみたい。
自分にドロップキックしたい!
半泣きで、テーブルにリモコンとケトルとインスタントのコーヒーと紅茶を置くと全力で準備を始める。
「これ飲んで待ってて下さいっ!ほんとすいません!!!」
「鈴丼、慌てなくてもいーぞ?
ちょっと早めに時間設定しすぎたってことで。休みの日だから仕方ないって。
仕事の時はちゃんとしてればかまわないぞ~。」
ミトサンがフォローいれてくれる。くそ、優しい!!
申し訳なさがカンストしそうなんですけど!!!!!
洗顔と基礎化粧をしていると二人がわいわい盛り上がる声が聞こえた。
「うわ、懐かしい。これ見てたよ、小学生の頃…!!」
「汗が出る効果音は前と違うんですね~
ふふふ、私も見てました。」
ミトサンとさや先輩はひとつ違いだから話題も被るんだなぁ。
当時のアニメの内容は覚えてないけど、そのアニメのキャラの水色のラッコのポシェットはお気に入りでいつも使ってた。
保育園に持ってくって毎日べそかいたと未だに思い出したように母親に言われたりする。
それに出てくるしまっちゃう的なおじさんが大好きでセレクションDVDを買った後に早朝五分弱アニメになってる事を知って毎回録りためてるのだ。
洗面所からメイクを終えて飛び出す。
「千佳ちゃん本当に、慌てなくていいのよ。
えっと、お茶飲ませてもらうね?」
「どうぞどうぞ!!
いやいや、ちょっぱやで準備しますんで!おくつろぎください!!」
先輩ズはどちらもなんだかんだいって結局優しいのだ。
どこかのムッツリ眼鏡も見習ってほしいものだ…
いや、優しい那珂先輩とか怖くね?
ただの感じのいい美形じゃん。うっわぁ~そんなの那珂先輩じゃないや。
そこまで考えて、隣の部屋から聞こえる笑い声にはっとなる。
眼鏡のことを考えてる場合ではない!!いかんいかん!
頭を振ると、私は昨日選んでおいた今日の服に手を伸ばしたのだった。