どうも諸悪の根源です。
「思い返すと、あー!!ってなるとこと多すぎて、何で分からなかったのか自分に聞きたい!」
「側に居ると案外わからないものよ?まぁ、私は気付くけど。」
「慰められてるのか貶められてるのかわからない!もう全てはミトサンのせいってことにしておこう!」
私が気合いを入れて宣言すると、ローストビーフ丼とほうれん草のおひたしが出てきた。
「え、美味しそうなのが出た!」
「こちら、その全ての根源さんからよ。千佳ちゃん。」
「なんと!分かりやすく懐柔と思いやりに満ちたラインナップ!!さすがミトサン、そつがない!」
「お褒めにあずかりまして光栄ですよ。
鈴丼、さやちゃんお疲れ。こんばんは、綾城さん。」
振り返ればいつの間にわいたのかミトサンがにこやか笑顔で立っていた。
「お疲れ様です…!」
「ぐほっ!」
振りかえり様に腹パンチをお見舞いする。
「これは、私のモヤモヤの分ですよ…!ミトサン、このやろー!!!
でも、おめでとうございます!!ちくしょう!!
さや先輩を幸せにしないと絶許ですからねっ?!!」
「いてーな、まぁ、腹筋そこそこ鍛えてるから許してやんよ。
気持ちは分からんでもない。
祝ってる感じしないぞ、鈴丼。」
「今日は心広くて安心です。祝う気持ちはありますよ?
まぁ、私のさや先輩をよくも…って隠しきれない気持ちは出ちゃいますが…
色々言ってやりたい感がありますが…でもおめでとうございます。
ミトサンにもまともな春が来て後輩として嬉しいですよ?
嬉しいけどなぁ…嬉しいけど、どんな手使ったんだこのやろうですよ。」
「さやちゃん愛されすぎじゃないか?さすが猛獣遣いだよね。」
「水卜さんの人としての信頼度の低さだと思います。」
キリッとした顔でさや先輩が言う。
もっと言ってやってさや先輩!
「さやちゃん…もう鈴丼も知ってるんだし、名前で読んでよ。いつもみたいにさ。」
にっこーっと輝く笑顔でミトサンは笑うと私とさや先輩の間に入り込み、さや先輩に迫る。
「なんか恥ずかしいから嫌です!」
キッパリ言い切るさや先輩。おお珍しい!やんわり言うのが常の人なのに。
「まあまあそんなこと言わずに。」
片手で椅子をガッチリ押さえ込んで迫るミトサン。
えげつな!逃げられないよう完全にホールドしとる!!
なんかどんな感じでアプローチ…もといい追い詰めていったか透けて見えますよ!
「ミトサン!やめてあげてください!さや先輩困ってる!」
肩をつかんで止めると首だけ振り返えらせてミトサンは言った。
「止めるな鈴丼よ…さやちゃんにはぐいぐいいく位じゃないと伝わらないんだよ?」
「分からんでもないけど!でも今じゃない!!今、そんなことする必要無くない?!
ただ名前呼びしてもらいたい気分なだけでしょう!?」
「………」
「図星かこのやろー!!!」
ぽかぽかミトサンの背中を叩いていると綾城さんが私の隣に同じローストビーフ丼とほうれん草のおひたしを、
さや先輩の前にローストビーフとほうれん草のおひたしと酒が提供される。
「水卜君うるさいわ。
さやちゃんとは千佳ちゃん挟んで座りなさいな。冷めないうちに食べてちょうだい。良いわね?」
にっこり笑って、でも有無を言わせす綾城さんが言うとさすがのミトサンも大人しく着席したのだった。