母心。
「おはようございます。三人とも早いですね。」
アイアンクロー等を食らう事案後、少しするとさや先輩が出勤してきた。今日は髪を緩く編み込んでバレッタでとめててすんごい可愛い!
「おはようございます!さや先輩、なんと丹波が一番乗りで来たんですよ!すごくないですか!!?」
「えっ、ほんとに?!それはびっくりだわ。」
「穂積先輩まで!!
ひどいっす!俺傷付きました!!!」
「だって普段の様子を見てると…丹波君胸にてを当てて考えてみて?」
丹波は両手をクロスさせて胸に手を当てた。
お前、ファラオかよ。
「………やむなしっすね。
なるべく少しずつ出勤時間縮めます…」
「うんうん、よい心がけよ丹波君。まず一秒から始めてみて。」
「えっ、さや先輩秒からってどうなんです?!」
「守れない目標はたてるものじゃないわ。挫折感だけが残るもの。」
「た、確かに…」
「すると丹波は概ね三分前から五分前に来てるので、それにプラス一秒ずつってことですか。」
眼鏡をくいっとあげながら那珂先輩が言う。おおーい、丹波!!なかなかえげつない出勤時間だぞお前!!!
「そうそう。そして次の日はそこにプラス一秒…余裕があれば五秒とかね。
ちょっとずつ積み重ねるのって大事よ。」
「グラフ作っておいてやるよ、丹波。」
にっこり那珂先輩が珍しく微笑んで言った。こえぇぇ!!
絶対内心般若だよね、その笑みは。
「それで、月末に大神課長と水卜さんに提出してやんよ。覚悟しろな?」
「マジてすか?!それは本気を出さなきゃですね、俺も…」
「普通はもっと前から本気だして自分で改善するもんだぞ、丹波。
しかし俺は優しいので、今日のはカウントしないでおいてやるよ。その代わり来週は五分前よりちょっと早く来いよ?」
「優しいようで厳しいっ!うう、頑張りますよ…」
「ところでなんで今日早かったの?丹波。」
本日の疑問をぶつけると丹波は何故か胸を張って答えた。
「明日明後日休みだから地元の友達と遊ぼうと思って実家から出たんすよ!
朝ママに叩き起こされて駅におっこどされたので超早くつきました!」
丹波母の苦労が目に浮かぶ心地になったのだった。
そして丹波はママ呼びなのね。




